ふーまの部屋

□君にHITOMEBORE
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「入らないの?」

背中越しに声をかけた。

「あ・・・」

振り向いた彼女の顔は、ハッキリ言ってどストライクで、まるで時間が止まったかのように大きな瞳に吸い込まれていた。

「あの・・・すみません」

俺が、退いて欲しくて声を掛けたと思ったのか、彼女は脇にそっと避けた。

「あ・・・いや、そういう意味じゃなくて・・・君も特進なんでしょ?」

俺は自分の制服にも付いているバッジを指さした。

「新入生でしょ?まだ入ったことない?」

「いえ、あの・・・私・・・」

「大丈夫。取って食われたりしないから。行こうよ?」

断りきれないと思った彼女は、ちょっと困った顔をして俺の後に続いた。


「ね?別になんとも」

振り返った瞬間、次の言葉が出てこなかった。

彼女の視線は、ただ一人だけを見つめていた。

少し潤んだ瞳に、明らかにさっきよりも上気した頬、一目見て恋してるんだと分かった。

急に喉が乾燥して咳払いをすると、視線の先の人物が顔を上げた。

俺を通り越したその目線は、彼女に柔らかく微笑んでいる。

それに応えるかのように、彼女も微笑んで軽く会釈をした。

耳まで赤くなりそうな、それでいて凄く嬉しそうな顔。
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