ショート・ショート・ショート
□4〜京介〜
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家に帰ったら、いつも玄関まで出迎えてくれる莉桜ちゃんがいない。
リビングの電気も消えている。
まだ帰ってない?
いや、彼女が今日履いて出かけたミュールは、きちんと揃えて脱いである。
「莉桜ちゃんっ」
キッチンには、莉桜ちゃんが作ったと思われるいくつかの料理が。
やっぱり、帰ってきているのは間違いない。
バスルームも、トイレも電気は消えている。
俺の部屋は勿論、莉桜ちゃんの部屋も真っ暗だ。
ウォークインクローゼットにも人がいる気配はない。
残るは寝室か・・・
「莉桜ちゃん・・・いる?」
真っ暗な部屋に問いかける。
「・・んっ・・・京・・介くん?」
「ここにいたんだね。真っ暗だったから、心配しちゃったよ」
軽くデコピンしようと触れた莉桜ちゃんの額は、驚くほど熱かった。
「ごめんね。今、ご飯の用意するからね」
起きようとする彼女の体を支え、ゆっくりと元に戻す。
「起きなくて良いから。熱、あるんでしょ?」
「・・・でも、解熱剤飲んだし・・・もう大丈夫だと思うよ?」
語尾の方は声が小さく、全然大丈夫とは思えない。
まったく・・・自分がツライのに俺の食事まで作って待っててくれるなんて、ホント莉桜ちゃんってば・・・
思わず溜息を吐いてしまう。
「・・・ごめんね?」