ショート・ショート・ショート
□2〜翔〜
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「あっ!」
急に翔くんが大きな声を出した。
「えっ、なに、なに?忘れ物?」
さっきまで同じ番組で撮影があり、私は翔くんの車で送って貰っていた。
「ううん。いいこと思いついちゃった」
そう言うと、翔くんはニッコリと可愛い笑顔で私の方を向いた。
「いいことって?」
「うん。まぁ、もうすぐだから待ってて」
「う、うん・・・」
もうすぐってなんだろ?と思いながらも、私は言われたとおり待つことにした。
あれ?さっきよりも車のペース遅くない?
このままだと、赤になっちゃうよ?
ちょっと不思議に思って、翔くんの横顔を見る。
翔くん、嬉しそうだな・・・ゆっくり帰りたいって思ってくれてるのかも。
なんだか嬉しいな、そう思って前を向くと、やっぱり思っていたとおり信号が赤に変わったところだった。
「よし!」
「え?」
その言葉の意味を聞こうと右を向いた瞬間―
「っ!」
開きかけた私の唇に、翔くんの唇が重なる。