ダーリンは芸能人
□夏輝〜Sexy Honey bunny〜
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自分の仕事には責任を持っているつもりだったけど、俺はこの時ほど自分の発言を後悔したことはない。
事の始めは、3ヶ月前。
俺はWaveに楽曲提供をした。
先方が俺の曲ならイメージ通りになると指名してきたこと、また、PVの監督が俺達が昔から世話になっている今井さんだということ、そして今井さん直々に夏輝の曲で撮りたいと連絡があったこと・・・簡単には断れなくて、普段はアイドルに楽曲提供なんてしないんだけど、俺は引き受けることにした。
楽曲は、メンバーの中西京介が主役を務める映画の主題歌になるようで、予め俺も台本を渡されていた。
女の子をとっかえひっかえしていたプレイボーイが、ひょんなことから出会った純粋な女の子に恋をして・・・色々な面を知っていくうちに、小悪魔な魅力もある彼女に天下のプレイボーイが振り回される、そんな内容だったと思う。
正直、有り触れた話だけど、中西京介のイメージと相俟って、曲はすんなりと出来た。
実際にヒロインを演じる女の子は、名前を聞いてもハッキリ言って知らないコだったけど、俺の中では確実に思い描く人がいたからかもしれない。
そして、昨日。
部屋で寛いでいたら、今井さんから電話があった。
曲のイメージの確認と、今井さんのPVコンテについて、俺の意見も聞きたいということだった。
「・・でさ、下着姿が良いかなって思うんだけど、バニーガールも捨てがたくてさ。でもタイトルにバニーってあるしなぁ・・・夏輝なら、どうする?」
小悪魔な魅力を短い時間で映像で表すのに、どういう画を使うか聞かれて、俺は思わず答えていた。
「ネコは?」
足元でジャレつくミィを見ていたら、すんなりと出ていた。
「バニーの衣装で、ネコ耳ってこと?・・・イイネ、それ。あー、ただなぁ、事務所がオッケー出すかなぁ?」
「下着姿よりはマシだろ?」
「んー、まぁ、それもオッケー貰ったわけじゃないから微妙だったんだけどさ。ネコ、良いんだけどねぇ・・・」
「今井さんが可愛く撮るなら、事務所もオッケーするんじゃない?」