悪ノ物語

□―第三章―
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それから僕は、日が暮れるまで練習した。
ピコ様のご指導は、ハードでキツかったが、やっていく内に慣れていった。


「明日は丸1日剣術でしょう? 基礎を叩き込むのは今日しか無いかなって思って… 疲れたわよね、今飲み物を用意するわ。」
「ありがとうございます。」


明日は丸1日剣術…
先生はやっぱり、男の方なんだろうか…?


「あら、どうかした?」
「い、いえ…あの、剣術の先生は、男性…ですよね?」
「私が聞いた噂によると、女性らしいわ。 ……どうしたの、レン…」
「女性…」
「……女は女でも、剣術には自信があるみたいでね、今は、処刑人に処罰を下している身みたい。 まぁ、彼女自身が処罰をするんじゃないけどね」
「…上から、刃物が付いた板に斬られるんですよね。 王宮に対して逆らった方は、今まで何人も居た。 その方達は、全員公開処刑でした…」
「そう…」
「僕とリンも、3歳の頃から見せられて… 人が死ぬのを見るのは、とても辛かった。」
「それは誰だってそうだと思うわ。 それにしても、3歳から…」
「黄ノ国は、政治が歪んでいるんだと思います。」
「まぁ、母国なのに…」
「母国だからこそです。 僕は、黄ノ国を失いたくない。 だから、次期王妃になるリンを守る。」
「本当に強い心を持っているのね、憧れちゃうわ…!!」
「いえ…」


僕は…強くなんかない。
まだ…姉を守れる立派な弟にはなっていない。
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