悪ノ物語

□―第一章―
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「では、誓いのキスを。今回はまだお二人とも子供なので、頬にしましょうね」


この人は、僕達がまだ赤ん坊の頃から世話をしてくれている、侍女長のルイ。
昔からドジで天然だけど、みんなに慕われている。(特にリンに)
おかげで、去年から侍女長に昇格出来た。
本人も相当喜んでいて、あまりに興奮しすぎて、リンの大切な調度品を壊しかけた事もあったな…
さすが天然…

そして、ルイの隣に居るのは、同じく侍女のミホ。
ミホはここに来て3年と、まだ経験は浅いが、料理がとても上手。
今年から、副侍女長に昇格した。
料理の中でも特に、ブリオッシュは最高だ。
リンも太鼓判を押している程。
あのブリオッシュは、他の誰にも作る事は出来ない味だ…と僕は思う。


「リン、こっち向いて?」
「ん…」


リンは、純白のドレスに身を包み、ヴェールからは、リンの愛らしい顔が僕の方を向いている。
本当に昔から変わらないなぁ、リンは。


リンは僕が守るんだ。
いつまでも。
華奢で繊細なリンを守れるのは僕だけなんだ。


「良い…?」
「良いよっ、レン!!」


チュッ


ルイとミホは、気を使っているのだろうか、背を向いている。
別に良いのに…


「…アハハッ、ほっぺたくすぐったいよぉ!!」
「あ、ごめんリン」
「何で謝るの?」
「…ごめん」
「もぅ、レンったら!! …まぁいーや!! ルイ、次はなぁに!?」
「あ、えと、次は…リング交換でございます!! ミホ、ここはお願いね。」
「おう、了解ッ!!」
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