悪ノ物語

□―第三章―
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「じゃあ…私はそろそろ行かないと。 また来るわ。」
「バイバイ」
「お元気で、お母様。」


お母様は、黄ノ国へ向け、出発なされた。

今頃リンは、どうしているかな…
まだ泣いてたりして。
リン、泣き虫だからなぁ…


「レン君…」
「うわぁっ!!」


そうか、ピコ様は両生類なのか…
て事は、今は女…ですね。


「な、何でしょう?」
「歌の練習も良いんだけど…剣術の練習もしてみない?」
「…!! 剣術…ですか?」
「そう。 この国には、剣の使い手は居ないんだけど、明日、あなたの為に来日されるらしくて…」


僕の…為に…。

きっと、お母様が手配なさってくれたんだろう。
感謝しないと。


「…僕には、双子の姉が居ます。 姉は…リンはもうすぐ、黄ノ国の頂点に立ちます。 僕はいつ帰れるか分からない。 剣術も歌も、頑張って一人前になって、リンを守ったり、楽しませてあげたりしたい。 だから…どうぞよろしくお願いします!!」


ピコ様は、しばらく口を閉ざしていたが、やがて口を開いた。


「…そうね、あなたには、双子のお姉様が居るのよね。 守ってあげたいだなんて、カッコ良い!! お姉様も、きっと喜ぶわよ!!」
「ありがとうございます。」
「ううん……それじゃ、早速歌の練習をしましょうか。 あなたには才能があるわ。 その才能を引き出せば…プロ目指せるわよ!!」
「えっ…本当ですか!?」
「えぇ、本当よ!! じゃあ、始めましょう!!」
「はい!!」
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