悪ノ物語
□―第二章―
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「リン、荷物の整理が出来たら呼んで。 すぐに出発しますからね。」
「…はい」
「……ごめんなさい、私達の勝手な都合で…!! あなたを悲しませてしまうわ…!!」
「お母様…良いんです。 僕は気にしないで下さい。 …では、荷物の整理をして参ります。」
「……えぇ…。」
ガチャ バタン
元々荷物が少なかったから、整理にはさほど時間が掛からなかった。
荷物の中には、レンとの思い出のアルバムや、レンが僕にくれた宝物達も入っている。
ガチャ バタン
「行きましょう、お母様。」
「リン、…お母さんって呼んで…?」
理由は分からない。
けど、最後に…
「お母さん。」
「リン…!!」
「お母さん お母さん お母さんッ!!」
涙が、込み上げてきた。
「うぅ、うぅぅっ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
僕は、お母様の肩に抱かれ、今までの気持ちを涙に託し泣いた。
お母様の体は、とても温かかった。