novel2

□あの春の出来事
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「好きや」
「アーン?」

桜がほころび始めた4月。

中学2年になった氷帝学園テニス部部長の俺様は、春休みも当然部活で。

いつも通りハードな練習メニューをこなした後に座っていたベンチで。

氷帝の天才と称される忍足侑士が突然真顔で言ってきた台詞。

「俺、跡部のこと好きなんや」
「…春は変な奴が増えると聞いていたが、お前もか」
「酷。変な奴ちゃうで。あんな、跡部…好き」

3回も言われれば、流石に言葉の意味を呑み込まざるを得ない。

忍足が、俺様のことを好き…?

途端に、動悸が速くなる。
顔が熱い。

「跡部?…返事は?」
「…わかんねえ」

一体、何が起こってるんだ。

困った顔をした忍足がこっちを見ている。

好き、か嫌いかでいったら忍足のことは嫌いじゃねえ。

見た目もイケメンだし頭も良い。

テニスも俺様を楽しませるだけの腕前もある。

それに優しい、し。


待て。


俺様は忍足のこと……好き、なのか…?
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