novel

□寒い寒い言うてても、なぁ暖まれへんで
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昔むかし、あるところに忍足侑士という、とても貧乏な青年がいました。

世間は年の暮れだというのに、せっせと家で何やら作業をしています。

「これを売って、なんとか正月を越せたらええんやけど…」

手先の器用な忍足は、ありあわせの藁で七つの笠を作り、雪の降る町へと売りに出掛けたのでした。

「笠はいらんかね〜、笠は…ってそこの兄ちゃん笠買うてくれへん?」

「いらん、断る!」
「つれへんなあ…あ、兄ちゃんやのうてオッサンやった」

笠は全く売れません。

「寒いし雪はどんどん積もるしかなわんわあ。帰って寝よ…」

忍足は諦めて家路へとついたのでした。

すると途中で、六体の地蔵が雪に埋もれていました。
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