novel

□汚れた手を空にかざせ
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夕焼けに染まる放課後の教室に、ただ一人の人影。

現在テスト期間中で、全ての部活動は休みである。

静寂の中、忍足は恋人である跡部の生徒会の仕事が終わるのを、自分の席で待っていた。

すると程なく、

「悪い、待たせたな」
「いや…ええよ。お疲れさん」

急いだのか、少し息を切らせた跡部が戻る。
帰るぞ、と言おうとしたその目線が、忍足の手元で止まった。

「それ…」
「ああ、暇やったから鉛筆でトーテムポール作っとったんよ…ええ出来やろ?」

跡部は手に取って繁々と観察してみる。

確かに再現度が高く、緻密な作品と呼ぶに相応しい出来ではあるが、跡部はどうしてそんなものを作るのかはかねてより疑問であった。

「確かに凄いが…それ、何に使うんだ?」
「使うっちゅーか…まあ単なる趣味やけど…」

そうか、と言いながら暫く鉛筆のトーテムポールを眺める跡部。

それを見ていた忍足は、ハッと何かを思いついた様子。

妖しい笑みを浮かべて、

「使い道…あるで?」

そう言うなり、教室の床に跡部を押し倒した。
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