novel
□ブッ壊そう自分自身のプライド
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空が夕闇に染まる頃。
自主練習で遅くなった跡部と忍足がテニスコートから部室へと戻る。
シャワーを浴び、もう誰もいないロッカールームで着替えていると、忍足がふと口を開いた。
「…なあ、跡部ってシたことあるん?」
「…何を?」
「やから、エッチ」
「ばっ…いきなり何だ!?」
手を止めて焦る跡部。
それを見て面白がる忍足。
「え〜?ほれ、俺らってイロイロ気になるお年頃やん」
「なっ…、そういうテメェはどうなんだよ?」
「俺?そんなんとっくやで。小5の時やったかなあ…」
「しょ、小5!?…誰とだ」
「バイオリンのセンセ。イロイロ教えてもろうて…で、跡部は?」
あまりなことに開いた口が塞がらない跡部。
しばしの沈黙の後、
「…ねーよ」
「は?」
「ねえっつってんだろ、この変態伊達眼鏡!」
「うっわヒド…。ちゅーか、ホンマにないんや。ってことは、童貞?」
真っ赤になって、悪いかよ…と呟く跡部。そこで忍足は嬉しそうに、
「ほなら、俺が教えたる!」
「アーン!?」
「上手いで、俺。…まさか自信ないん、跡部?」
「うっ…、そんな訳ねえだろっ!」
「ほな決まりやな」
そう言うや否や跡部に近寄り、耳元で低く囁く。
「見たいやろ、氷帝の天才の技…」
かくして忍足による、ろくでもないレッスンが始まったのだった。