魔王のかまぼこ2

□第39話
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「ビェエエエエエ!!!」


「『ぎゃぁあああああ!!!』」




第39話
山ごもりです?修行だ修行!!




「坊ちゃまー坊ちゃま起きて下さいまし
今日はヒルダが朝食をご用意いたしましたよ


む、湊もきていたのか・・・湊?」


「『・・・・・・』」


朝から電撃を浴びた湊です
原因を知るため男鹿の部屋へ来たわけですが・・・
部屋の隅に落ちているセミの死骸が怖くて男鹿にへばりついてます
仕方ないよ・・・あれ怖いもん


「あのな、負けるなとは言わねーよ
てめーも魔王っつってもまだ赤ん坊だ
一コ一コ強くなってきゃいーと思ってるよ


でもな、死にかけのセミに泣かされるってのはどーなの!?
魔王として!!魔王死にかけのセミ以下!?
湊もいつまでくっついてんだ!!襲うぞこらっ!!」


『し、しかたねーだろ!!あいつちゃんと死んでねーもん!!
死にかけなんだもん!!急に動くもん!!
なぁベル坊!!』


「ダ!!」


「「ダ!!」じゃねーよ!確かにビクッとはなるよ!?湊の言うとおり奴ら急に動き出すから
・・・なるけども!!起き抜けにパワーアップした電撃浴びせられるこっちは
ビクッどころじゃ済まねーんだよっっ!!湊もそれで起きてきたんだろ!?」


『そーだけどよ・・・ベル坊の気持ちの方がだいぶわかるって言うか・・・』


「よし、もうお前黙ってろ後で犯す」


『えぇ!?』


ニタリと笑いながらそう言った男鹿からズザッと距離を置き
いつの間にかいたヒルダさんの後ろに隠れた


「・・・アウ」


「「アウ」でもねーよっっ!!
なんだその「セミの野郎・・・」みたいなポーズ!?
あとちょっとで勝てたってか?余計情けないわっ!!」


「・・・まぁよいではないか坊ちゃまも悔しがっておられるし
湊もそやつに近づきたくないようだ・・・」


「いーやダメだねっ!!特訓だ」


「『は?』」


オレとヒルダさんが声をそろえて聞く
その声を聞こえているのかいないのかはわからないが
男鹿は心底楽しそうな、ニヤリといった感じに笑った


「特訓だ特訓!!オレが一から鍛え直してやる!!
湊もだぞ!!」


『え、遠慮する・・・!』


「いやまて・・・その前の表情が気になるのだが・・・」


「行くぞベル坊!!湊!!」


「アー!!」


『行きたくないーーーっ!』


離せーっと騒いでいたがやっぱり
男鹿の力にはかなわなくて・・・引きずられるように連れ出されたのだった
そしてある人物も、電車に乗り男鹿や湊と同じところに来ていた


「んー着いたー、山の空気はおいしいわー
ね、光太」


「オー」


「葵、何をしておる行くぞ」


「はい」


そう、ある人物とは祖父と一緒にきた邦枝葵だった
そして二人は駅のホームを出て付近を見渡す


「わー見て見てでっけーうんこ!!」


「まってー」


「こらっ走らないの!!」


「やれやれここも騒がしくなったもんだわい」


「いいじゃない賑やかで・・・」


「冗談じゃない!!高ヶ峰の魔二津と言えば昔は
人のよりつかない修験場として恐れられていたもんだ
なんじゃいこのうんこはっ!」


「ソフトクリームでしょ」


祖父の言葉に的確にツッコむ葵
そしてソフトクリームを指差し言った


「おじーちゃん食べる?」


「下らん遊びに来たんじゃないんだぞ」


「・・・はーい
(夏休みも終わり間近、私は祖父の手伝いで山奥のお寺に来ていた
はぁー・・・何やってんだろ貴重な高2の夏だってのに・・・・・・
家の手伝いと修行しか私やってないかも・・・
結局あいつと成瀬と会えたのはあの時だけだったし・・・


って何考えてんの私!?どーでもいーしそんな事!!)
借りを返しに行っただけだもんね」


ぶんぶんと頭を振りながら邪念を払うように言い聞かせながら
山道にできた石段を登っていく


「(・・・でも、あいつ東条に勝っちゃったんだな・・・
すごいな・・・でも、成瀬のことでの決着はまだついてないし・・・
・・・次会った時なんて声かけたらいいのかな・・・)」


思いにふけりながらフと上を見上げると
そこには・・・木の幹につるされたベル坊と湊
そしてその幹の上に黒い笑みを浮かべながら男鹿が立っていた


「くふふふベル坊君、湊ちゃん早く脱出したまえ
でないとほら、君タチの怖がってる虫達が一匹また一匹と・・・
はちみつをぬりたくった君達の顔めがけて大行進を」


「ダアァアアアッッ!!」


『いやだーー!!離してー!!おろしてーっ!!!』


「・・・・・・(なんて声をかけたらいいのかしら・・・
泣いてる成瀬可愛い・・・ってそうじゃなくて!!)」


「アーッハッハッハッ!あがけあがけ!
わんぱくでもいい!たくましく育つのだぁーっハッハッハッ


ハ・・・ッ!」


 
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