こんなのが書きたかった。鯖煮→鯖の、完結編。
ネタバレ注意↓













俺は何回この世界を繰り返した?この世界は俺の世界じゃないのに。

俺の世界でも何回もくりかえした。だけど。覚えてなかった、やり直したときには。

何度も同じ失敗をして、何度も仲間を死なせて何度もやり直しを求めた。そこで、救ってきたのは彼だった。そして、俺は彼の話を聞いて思った。

彼は俺の世界、仲間を全員死なせないで、救ってくれたのに、彼の世界の話では仲間が死んでいた。

だから、俺だって、彼の世界に行って彼の仲間を救いたかった。そうすれば、彼の負担は大きく減るだろう。そう思って。恩返しのつもりもあったと思う。




ただ。何度も何度も何度も何度も何度も。やり直してきたのに、どんな選択をしようが彼の仲間は死ぬのだ。何故?いや、まだ救える。救える?


何度もくりかえしてきたとに、ふと思った俺がいるがために、彼の仲間が世界に殺されるのではないかと。

だから、一切人に会わず、一切悪魔にも会わないようにしたことがある。それでも駄目だった。


しくじって、俺が死んだこともある。それでも駄目だった。目を閉じ開ければ、そこは一日目の世界だ。


まるで、俺もこの世界の一端であるような扱いだった。

いつ終わる?終わりはあるのか?


疑問に誰かが答えるわけもなく、誰かが死ぬ。


何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。繰り返した結果は絶望の世界だった。


俺は目を閉じ、唇を強くかんだ。なにもできないことに後悔し、でもどうすることもできない自分に苛立ちも感じる。

この世界の彼はそんな様子を見て、仲間から離れて、俺に近づく。あっちでは仲間たちが楽しく談笑している。


心配そうに声をかける彼に無理矢理作った笑みを作った。そうすると、その様子を見て、ため息をつかれた。


「もうやめてもいいんだ」その一言をいい俺の隣に座った。言っている意味がわからなくて、彼をジッと見る。

何度も繰り返してんだろ?

その言葉は、彼も同じ状況であることを示していた。いままで、知らなかった。彼はもしかしたら、俺がくるずっと前から…


諦めようかと思ったときに、お前が来たときは驚いた。いけるんじゃないかって思った。だけど、無理だった。


誰がこんな状況にしたと思う?それはな、……

彼の言葉を聞いたときに直感的にわかった。


俺がこの世界に来たのは、彼の仲間を救うためなんかじゃなかったんだ。





その日俺は彼を神殺しの魔王にした。











神殺しの魔王の誕生を、カインは笑った。
神殺しの魔王の誕生で、俺はもとの世界に帰らさせられた。
神殺しの魔王はいろんなものを失ったが後ろを振り返ることは許されなかった。


神は、そんな新しい魔王に殺されそうになった。
魔王は神殺しをやめようとはしなかった。ダレニモトメラレナクナッタ。彼自身モ。


…………………。


彼は変わった。人間の自分はあまり出さなくなった。

人間の自分を出した時、それは相手を利用するためだと魔王は勘違いしていたが、本当は人間の自分が戻りたいと叶わぬ願いを持っていただけだった。

彼は人間の皮を被った本物の化け物になった。

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ