詩 う 声
08/31(Fri) 00:50
月に馳せる
朱
夜の闇に張り付いた貴女の輪郭は、冷たい鋭さを湛え
その蒼白い光で、わたしの瞳孔を射抜く
もっと深くまで、この眼を刺して
すべて狂うまで、心を壊して
喉元までせり上がった悲鳴のように、貴女へ届けとわたしは叫ぶ
今さらもう遅いのか
その光から眼を反らして逃げたわたしを
きっともう二度と、優しく抱いてはくれない
貴女から伸びる見えない腕を、幼い心で待ちわびた
あの日のように透明なわたしは、もう何処にも居ないから
いつからか歪んだ心で見つめた夜空は
わたしを責める貴女を見せて
「終わりはないよ」と
冷たく笑っていた
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