【短編集】

□恋をするって…
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「今日の、モエギちゃんは凄く可愛かった!」


ぶっふぉ!!!


...いきなり何を言い出すんだウドンの奴!


折角口に入れたばかりの白玉が
勢いよく口から吹き出して
隣の席まで飛んじまったじゃないか


勿体ないぞこれぇ...


「ウドン...眼鏡屋行った方がいいぞこれぇ」


「いや、眼鏡屋は先週行ったばかりだよ!」


「...」


ウドンの眼鏡を見ようと顔を見たら
なんかいつもと違う真面目な顔つきで
本当にモエギが可愛いと思ってるみたいだ。


うーん俺はモエギを女として見た事が
一度もないから可愛いと言われたら可愛いのか?


「ちなみにさ、モエギの...
ど、どこが、可愛いと思うんだこれ?」


「全部だよ全部!雰囲気もだけど、服装とか髪型とか...」


さっきまで任務でモエギも一緒に居たので思い出してみるが
うん、普段と全く同じモエギしか思い出せない。


「うーん、いつもと同じだったぞこれ?」


「何を言ってるんだよ木の葉丸君!?
いつも見てるのに気付かなかったの?」


「気付く?何にだこれ?」


ウドンは鼻息荒く
鼻水を左右に揺らしながら近付いてきたので
ウドンのベストを押し返す。


「唇!モエギちゃん唇にリップ塗ってたんだ!
しかも匂い付きのだよ?任務だと言うのに
ピーチがほんのり香るリップをつけてたんだ!!!」


ちょっとまてウドン...
お前はモエギの唇をいつも見てるのか?
それと匂いとかよく気付くなこれぇ...
ちなみに俺はリップにもピーチ臭にも気付かなかったぞこれぇ...


「モエギも女として修行してるんだなーこれぇ...」


やたら遠い所を見ながら
モエギも女なんだなーと思っていたら


「や、やっぱ女として修行するって事は
だっ誰か気になる人とか…
好きな人が出来たって事だよね!!!フンッ」


ぽちゃん


「あ"…」


鼻息を一気に噴射したおかげで
俺のお汁粉にウドンの鼻水が...


「まだ残ってたのに...」


「木の葉丸君は、
モエギちゃんの好きな人誰だか知ってる!?」


知ってるも何も、今さっきモエギがリップをしてた事を知ったのに
好きな人が誰とか分かる訳ないぞこれぇ...


「きっと木の葉の里の忍だよね!
それできっと強い忍とかだよね!
モエギちゃんは頭も良いし強いし可愛いし...
きっとその忍と付き合いたくて...
それで...それで...それは僕なのかとか...」


そうか、モエギも誰かを好きとかあるのか...


俺達も17歳だもんな...
彼氏や彼女が居てもおかしくない年齢だし
女なんか結婚出来るんだなこれ!


そう考えると、彼女居ない俺とかウドンって遅れてるのかこれ?


「ちょっと!木の葉丸君聞いてる!?」


「はぇ?あぁ聞いてるぞこれぇ!モエギの彼氏の話だろ!?」


ガターーーンッ


「おわぁ!!!何すんだウドン!!!」


「か、彼氏?モエギちゃんには既に彼氏が...」


あ、間違えた!
好きな奴の話で止まってたんだったこれぇ!!!
ウドンの奴かなり狼狽えてるぞこれぇ


もしかして...ウドンの奴...


「ウドンお前、モエギの事好きなのかこれぇ?」


ドンガラガッシャーーーンッ


机と椅子を三脚なぎ倒しウドンの顔が茹でタコみたいで
あぁこれは恋だなーと他人事のように
いや他人事だけど、なんか不思議な感じだ。


恋とか全然興味ない俺には不思議でたまらない。


殆ど毎日任務で一緒に居て汗や泥まみれになるモエギに
どうやったら恋心が芽生えるんだろうか?


「恋してる暇があったら
一に修行・二に修行!三四が無くて、 五に修行だ!
修行して強くなれば、モエギも惚れるんだなこれ!」


なぎ倒した机と椅子達をなおしているウドンを下に見ながら
腕を組んでどや顔で意見をもの申す俺の後ろに
何時の間に居たのだろうか…


後ろの席の奴が俺の背中にドスッと
いきなり寄り掛かってきやがった。


「おもたっ!なにすんだこれぇ!!!」


振り向こうとすると、目前に眩しい色が飛び込んできて
次の瞬間自分の鼻がその色に埋もれた。


「ふんがっ!」


その色は良く見れば金色で、
埋まった鼻先からスンッと空気を吸い込んだら
鼻孔いっぱいにフローラルな薫りがして


もっと嗅いでいたいなとか思ってしまい
鼻先を金色の房に埋めようと身体を倒せば


「くすぐってーよ木の葉丸!」


と、聞きなれた声が聞こえた。


「…この声は…ナルトの姉ちゃん!?」


名残惜しく金色の房から鼻先を出して
顔を上げれば、至近距離にナルトの姉ちゃんの顔が


「さっきから後ろに居たのにー
木の葉丸全然気付いてくれねーのな?」


昔のように笑いかけられた筈なのに…


こんなに綺麗に笑う人だったのかと
驚きで一瞬時間が止まって見えてしまい
今きっと俺の顔は超間抜け面だ。


「はっ?えっ?あ、あぁえっとウドンと話してたから気付かなかったんだこれ!」


凄い不自然な感じで視線を外して
ナルトの姉ちゃんとは反対を向いて話し続ける。


とてもじゃないけど
あの距離でずっと話してるとか無理だこれ!!!


柔らかい金色の髪はフローラルな薫りがしたし
触りてぇとか思うし...


あのビー玉みたいにキラキラした蒼い瞳で見られ続けたら
何でか心臓がバクバクして
とてもじゃないが普通でいられない


「あぁ〜モエギの話だろ?」


話を聞いてたのか!なら話は早いぞこれ...


「そう、モエギの好きな奴の話だこれ!」


話しながら
かなり椅子を前にずらしてから
ナルトの姉ちゃんの方を向きなおした。


「モエギの好きな奴って…シカマルだろ?」


ドンガラガッシャーーーンッ


はい、ウドン二度目の机と椅子なぎ倒し
店員さんの視線が痛いです。


「そ、そ、そ、それは本当の情報ですか!?」


ウドンがガタガタと椅子をなおしながら
ナルトの姉ちゃんに確認する。


「ん〜本当も何もモエギが言ってたってばよ?」


「「!!?」」


さらっと言ったけど...何でモエギの奴
ナルトの姉ちゃんに好きな奴の名前を教えたんだ...


もっと他に色恋沙汰に煩い
煩い言われると殴られそうだが...


色恋情報に嫌に詳しい
サクラの姉ちゃんとかイノ姉ちゃんとかに相談しないんだ?


「一番恋愛に疎い、ナルトの姉ちゃんに何で...」


ドスッ


「いってぇえ!!!」


呟やいた言葉が聞こえてしまったようで
横っぱらにパンチをされてしまった。


「木の葉丸...失礼だってばよ?
あたしだって、恋のひとつやふたつしてきたんだ!
彼氏だって居たしな♪恋愛の相談役くらい出来る!!!」


ドンガラガッシャーーーンッ


机と椅子を三脚なぎ倒し三度目のなぎ倒しに
堪忍袋の緒が切れた店員さんが向かってくる…


倒れた椅子や机を急いで片づける2人をよそに
俺はいつまでも尻もちをついた床から立ち上がれないでいた。


気付いてしまえば簡単で
俺もウドンと全く同じだった。


相手がこんなにも違って見えてしまうものなのだ…


恋って怖いぞこれぇ〜〜〜







END






あとがき


なんだこの話はw


また、フォルダで眠っていたので
出して編集してみましたがー
どうでしたか??
コノナルなのかなぁ(^p^;)


でも、あまりないので(コノナルコ!)
好きな方の為に上げておきます!


2013.7/29 犬居
 

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