頂き物小説
□『リボン』
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『リボン』
coco*cafe
リビングで朝食を食べながら、カカシとテレ
ビを見ていると、画面に大きなクリスマスツリーが映った。
ミニスカートにアレンジされたサンタの衣装を着たアナウンサーが、『みなさーん、クリスマスのプレゼントはもうお決まりですかあ?』と、朝から元気な声をあげる。
「ふうん。もうすぐクリスマスかあ」
と、ナルトは呟いた。親がなかったナルトには、縁の薄いイベントである。
今年人気のクリスマス商品だと、次々に品物が紹介されてゆく画面を眺めていると、
「何か欲しいものでもあるのか?」
と、カカシが訊いてきた。
「え?」
「だから、クリスマスプレゼントだよ。欲しいものがあるなら、買ってやるよ」
「えっ! マジで!? じゃあ、俺……」
ナルトは、椅子から腰を浮かせて言いかけたが、
「……やっぱ、いいや」
と、椅子に座り直した。
「どうした?」
「いや……。だってさ、俺、先生に、世話になりっぱなしだしさ。そのうえプレゼントなんて……」
半同棲のときもそうだったが、カカシと一緒に暮らし始めてからも、ナルトの生活費は全部、カカシが面倒をみてくれているのだ。
せめて家賃の半分くらい払いたいのだが、カカシは受け取ろうとしなかった。
プレゼントを貰うどころか、日頃のお返しに、こちらが何かあげなければならないくらいだ。
「世話になりっぱなしでいいじゃないか。俺が好きでそうしてるんだからな。遠慮するな」
と、カカシは言ったが、そう言われると、ますます遠慮しなければならない気になった。
「本当にいいんだってばよ。それよりさ、俺から、先生に、何かプレゼントさせてくれよ」
と、ナルトは言った。
「日頃、先生に、お世話になってるお礼っつうかさ」
「それ、プレゼントじゃなくて、お歳暮じゃないのか?」
と、カカシが笑う。
「まあ、いいじゃねえかよ。とにかく、何かやりたいんだからさ。欲しいものがあんなら、言ってくれよな」
少し照れくさくなりながらそう言うと、カカシは、
「そうだな。じゃあ……」
と考えながら答えようとした。
それを、ナルトは、はっとして、遮った。
「ちょっと待った! エロいのはナシだからなっ!」
* * * *
「まったく……。人がまともにリクエストしようとしてるのに、エロいのはナシだ! とくるとはな」
いつまでもナルトをからかって、くすくす笑いながら、カカシは任務に出て行った。