【短編集】

□セイデンキの恋
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きっかけは些細な事だった


たまたま任務が休みで、里をふらふら歩いていたら
甘栗甘で買い物をしてる見慣れたちょんまげが
暖簾の隙間から見えて


ほんの悪戯心で待ち伏せした


出てきたちょんまげにタックルしたら
それは見慣れたちょんまげヘアーの友人ではなくて...その友人の父親だった


結構勢いよくぶつかってしまったのか
手にぶら下げていた袋が勢いよく揺れて次の瞬間には空中を飛んでいた


がさりっ


地面に落ちた袋から数本の団子が転がり
砂利まみれになってしまった


自分が仕出かしたと固まるナルトを視界に入れながら
砂利まみれの団子を1本拾うと、ナルトの方を見て


「洗えば食えるとおもうか、なぁナルト?」


聞いた事のあるあの渋い声がいつもより
ほんの少しだけ柔らかく
自分に向けられた笑顔がとても優し過ぎて


ナルトは何故か泣きそうになった


俯いて隠そうとしたら
節がゴツゴツした長い指が顎を救い上げて
無理矢理視線を合わされて...


いつも戯れる友人と似通った切れ長の目がかっこいいのだけれど


でも、あの彼にはない目尻の皺だったり
右頬に走る大きな傷が何故か惹き付けられて
ずっと見ていたいな...と感じた次の瞬間


自分の顎を掴んでいた手とは反対の掌で
ガシガシと頭を撫でまわされてしまった


大きな掌はナルトの頭をすっぽり覆い
その触れた部分から何か感染したかのように
びりびりとナルトの身体に電気が走った。


「!?...静電気?」


心の中で呟いた筈が声に出ていたようで...
ぽそり呟く声を聞き取ったシカクが掌を離すと


「俺はビリっと来なかったぞ?」
と、自分の掌を表裏ひらひらさせて眺めている


自分の勘違いかと思ったのと同時に
何故かそのひらひらさせる掌に
もう一度触れてもらいたい触れてみたいと思い


ナルトはそおっと手を伸ばし触れた…


自分とは明らかに違う手の大きさと少しかさつく肌の感触が気持ちよくて
そのかさつく掌からはえる長い指の合間を滑るように自分の指が入り込んでいく


包み込めない大きな手の持ち主は
少し驚いた顔をしたが、柔らかくほほ笑むと
自分よりも小さくて少しだけピンクに色づく
可愛い掌をキュッと握り返した


「はぇっ//////」

変な声が出てしまったと慌て
囚われてしまった手を引こうとすると
友人の父親は


「あったけぇな〜ナルトの手は」と言って
離そうとはしてくれず、
柔らかさと温かさを味わうように
にぎにぎとその掌を握り続ける


ナルトはもうすぐにでも離して欲しくてたまらない


しかし顔が真っ赤なので囚われていない
掌で自分の顔を隠すのが精いっぱいで
未だ掴まれた手の奪還任務は到底無理である


そんなナルトなど気にせずシカクは
自分に娘がいたら、こうやって休日に
一緒に団子屋などにきて
柔らかく温かい手を握りながら
親子でデートなんて出来たのかね〜と
自分の思考に入り込み嬉しそうに微笑んでいたら


「変態親父、もうその変にしとけよ〜」


そう聞こえたと思った瞬間、シカクの
掌は黒い影で持ちあげられ、反対の掌も
同様に後ろに回されて固定されてしまう


「や、やるようになったなぁシカマル」


ナルトとに気を取られて
自分の息子の影に気付かなかったとは
少しだけ浮かれ過ぎていたかと反省する


掌をやっと解放されたナルトは
最初に勘違いしていた友人の
シカマルに会えたと言うのに
何も声を掛ける事もなく走り去ってしまった


「なんだあいつ...トイレでも行きたかったのか?」


シカマルが勘違いしてる合間にも
ナルトは全速力で道を走る


走っているせいなのか
息切れと動機が酷い
顔は赤く染まり、耳朶にまで
熱が感染してぼーっとした音がずっと
ナルトの耳の奥で鳴っていた


そして、走っても走っても
シカクの掌の感触やぬくもりが
消えてくれる事はなかった。




END......




あとがき
ちゅ、中途半端なおわりですー
恋と自覚してるのかも謎な(^^;

夜中に思いついたこの話を
スマホのメール下書きbox入れたままで
放置してたので完成させてみました^^*)
 

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