【短編集】

□続・振り向いて
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暗闇の中でアイツの声が聞こえる



「私のかわいい実験体さん・・・」



っ....ヤメロ!



「まさか、生き残りがいたとは・・・」



ボクは...お前の”モノ”じゃない!!



「ククク・・・」



ボクは・・誰な・・んだ・・・?



何故ボクは此処に居るんだ・・・?



あぁ・・そうか、ボクも”拒絶反応”を起こして・・・



『 隊長!! 』



誰?



『 ヤマト隊長!! 』



呼ばれている・・・この声は聞いた事がある・・・



『 ヤマト隊長ってば!! 』


『 もう一発、雷切入れる? 』


『 ダメだってばよ!! 』


『 そう?だって全然起きないじゃないコイツ 』


『 それはカカシ先生のせいだろ!! 』


『 ハハハ〜そうでした♪ 』




凄くうるさいな・・・



あれ、でも何か目の前が



少しずつ明るくなってきたな・・・



パチッ




「あ!!ヤマト隊長!!」


「チッ・・・もう起きちゃった」


「先生!!」



暗闇の中から抜け出すと



そこは、見慣れた廊下だった。



「・・・人の耳元でぎゃーぎゃーと・・・
何を騒いでるんですか・・・」



見慣れた廊下には、これまた見慣れた先輩と



心配そうに、ボクの顔を覗き込むナルトがいた。



「ぎゃーぎゃーって・・・お前が
倒れたから、看病してたんでしょーがぁ
ちょっとは感謝しなさいよ」



「さっき、もう1発雷切入れるとか聞こえたんですけど
それはボクの空耳だったんですかね?」



「・・・ハハハ」



乾いた笑いをこぼした先輩とは対照的に
ナルトは、まだ起き上がれないでいるボクの身体を心配して
オロオロしていた。



「隊長倒れた時、スゴイ音がしたってばよ・・・
どこか打ちどころ悪くしなかったか?」



「ん?ちょっと身体は痺れてるけど
特に痛いところは無いかな・・・それよりも・・・」



この状況はちょっと美味しい
目が覚めて、後頭部に感じる柔らかさに
何か高級な枕でも敷いてくれたのかと思ったのだが



どうやら違うようで、よく見れば
今ボクは、ナルトの膝枕で寝込んでいるようだ。



なんとも気持ち良い感触に
いつまででも、こうしていたい衝動にかられてしまう。



「隊長・・やっぱりまだ痛いんじゃねーの?」


少し黙り込んだボクを心配するナルト
あぁ、この子は本当になんて優しいんだろうか・・・
それに比べて、この人は・・・



「ねぇ〜テンゾウ?もう起き上がれるんじゃないの?」



心の器が小さいと言いますか・・・
ナルトの事になると、子供かって思う程にムキになるんだよな



「少し痺れはありますが、もう起き上がれますよ。
とある誰かさんが、さっきから殺気を飛ばしてくるので
おちおち寝てられませんよ、まったく」


まだ、この感触を味わいたいけど
このまま寝続けてたら、先輩の手によって
永遠の眠りにつかされてしまいそうなので起きるとするかな



「本当に大丈夫か?ヤマト隊長?」


そう言って、ボクの額に手を当てる
あれ?ヘッドギアをしてない?



キョロキョロとしていると
ボクの探し物に気付いたようで


「あ、隊長のヘッドギアならここにあるってばよ
頭打ったから心配で怪我してないか見たくて外したんだ」


あぁ・・・本当に
なんていい子なのだろうか
ボクには天使に見えてきてしまったよ



「あぁ有難うナルト・・・怪我もしてないし
もう起きるとするよ」


「そっか」



起きないと、いつ2発目の雷切が
飛んでくるか分からないしね・・・



ナルトの背後に立つ先輩の顔が
さっさっと起きろと催促している。



眉目秀麗沈着冷静の最強と言われた忍が
これ程までに、感情むき出しでいいのかね?



少しだけ鈍くなった自分の身体に
活を入れて、膝をたて
腰を上げようとすると
まだ、足に力が行き届かなくてよろける



すぐ隣に居たナルトが気付いて
受け止めようとしてくれたのだけれど
ボクの重さを受け止めきれなくて
一緒に倒れてしまった。



ナルトを下敷きにはしたくなくて
とっさに抱え込んで倒れたら
抱き合うようなかたちになってしまった。



ボクの腕にすっぽりと収まる身体が
何とも愛おしく感じてしまう



「たっ隊長///苦しいってばっ」



腕の中に収まっていたナルトが
キュッキュッとベストを引っ張っている。


気付かない内に腕に力を籠めてしまっていたようだ・・・



「あぁごめんねナルト」


腕の力を緩めるとプハッと言って
少しだけ睨む感じで僕を見詰めるんだけど
全然怖くないし、寧ろ愛おしさが膨れ上がってしまう



このままずーーっとナルトを
抱きしめていたいな



・・・無理だろうけど



「・・テンゾウ・・・どうやら死にたい様だね・・・」



この人がいる限りはね・・・












目が覚めると、そこは見慣れた廊下ではなくて
木の葉病院の天井だった
ボクは、あの後先輩から2発目の雷切を受けたんだ。



今度は全く起き上がれない状況で
笑い事では済まされなくて
カカシ先輩には綱手様の
雷と言う名のゲンコツが落ちて
過酷な長期任務に駆り出されてしまった。



そのお陰でボクは、ここ数日お見舞いにくる
ナルトを独り占めしている。



この滅多にないチャンスに
大人の本気を出すとしますか♪




END。。。
 

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