【短編集】

□カカ誕・クラジオラス
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【クラジオラス】




幼い時
父と二人暮らしで
祝う事などなかった。


物心ついた時には
忍になっていて


誕生日になんて
興味はなくて


だけど


ミナト先生とクシナさんは
よく祝ってくれたっけ…


あの時は
本当に嬉しかった。





最近は…


自分に惚れる
女性達がプレゼントを
渡してくるが


ひとつ貰ってしまえば
きりがないから
全て断っている。




9月15日




今年もまた憂鬱な1日が始まる…







「カカシさ〜ん
お誕生日おめでとう////
…これ良かったら「あっごめんね〜そういうの迷惑だから」えっ…」


女が言い切る前に
遮るカカシの言葉


他にプレゼントを持っていた
女達が悲しそうな顔をする


いつもなら
自分に好意を向ける女達に
愛想を放り巻く男の雰囲気が
今日は違っていた。


その様子を一部始終となりで
見ていた顔馴染みのアスマ


「貰ってやりぁいいのに」


タバコをふかしながら
モテる男は嫌だね〜と
呟いている。


「モテない熊には
俺の気持ちなんて
わからないでしょーよ」


カカシの言葉に
なんだとー俺はモテルぞ!!
と、言ったところで
紅限定でしょ?と、
カカシに返されてしまう


喚く熊を軽くあしらいながら
道を歩いていると
少し先から鉢植えを抱えた
ナルトが走ってくる


何やら誰かを探しているようだ。


抱えた鉢植えから
伸びる植物で顔が隠れているので
カカシの存在に気がつかず


通り過ぎてから
その存在に気付き
慌ててUターンしている。


「カカシ先生見つけたってば!!」


自分を探してたと
ハッキリ言われて
若干頬が緩むカカシだが
口布でその表情は分からない。


「どうしたのよ、何か急用?」


ナルトは荒れた呼吸を整え
持っていた植物を
カカシに強引に渡す。


「はい、プレゼントだってばよ♪」


「はぁ?」


カカシは手渡された
鉢植えを見てポカーンとしていると


「今日、カカシ先生誕生日だろ?
だからクラジオラスあげるってば♪」


「く・・クラジオラ・・ス?」


聞きなれない単語に
?顔していると


「じゃーまたな先生!!」


と、言い残し
ドタバタ忍者は去って行った。


「・・・これ
どうしろって言うのよナルト〜」


カカシは別に植物が好きではない
ナルトが好きなのは知っていたが
まさか誕生日プレゼントに
こんな鉢植えを貰うとは・・・


困っているカカシに
アスマが声をかける


「わはは!!アイツ面白いなぁ
カカシ良かったじゃねーか?
部下からこんな可愛い花もらってよ?」


可愛い花・・・
そうなのだ鉢植えには
剣のような鋭い大きな葉っぱと
ピンク色の小さな花を数個
上品に咲かせている。


(30過ぎのオッサンに可愛い花ね〜)


カカシは返す暇もなく
受け取ってしまった事に
ちょっぴり後悔していた・・・




アスマと分かれたカカシは
鉢植えを抱えたまま
イノの花屋を通る



「あっ!!クラジオラス!!
・・・ナルトのやつ
カカシ先生にプレゼントしたんですか?」


店先で水やりをしていたイノが
カカシに声をかけた


「え?何、
もしかしてナルトのやつ
この花・・・
イノの店で買ったの?」


「そうですよ?
ナルトにクラジオラス
取り寄せてくれって頼まれたんです

ちなみにその花・・・
草丈が60cm〜1mになる大型の球根植物ですよ。

・・・サクラにあげるんだと思ってたのに
まさかカカシ先生だったとはねぇ〜」


イノがニヤニヤしながら
花とカカシを交互に見ている


「何よイノ?
この花、何かあるのか?」


「えー別にぃ〜何もないですけど?
まぁちょっと花言葉があれなんですよねぇ・・」


「何?気になるじゃない・・」


イノは
ちょっと言いづらそうにしていたが
教えろと鋭い視線を向けられ


花言葉をカカシに教える


「クラジオラスの花言葉は・・
用心 忘却 勝利とありますが

恋の花としても有名で
忍び逢い
慎重な恋
情熱的な恋

ピンクの花の場合は・・・


ひたむきな愛です。」


先程までカカシは
この花を受け取った事を
少し後悔していたのに


花言葉を知った今は
心がほんのり温かくなるのを感じる


そして
無性にナルトへ
『ありがとう』と
伝えたくなる。




カカシは今も
この里のどこかに居る
金糸を探し出そうと駆け出した



ナルトが
カカシの誕生日に
伝えたかった言葉



ひたむきな愛に応えたくて





END




あとがき


カカシ先生お誕生日おめでとう!
初めて誕生日小説書きましたv

9月15日の誕生花は
クラジオラスだそうで(ぐぐった)
そこから思いついたお話しでした(^^)
 

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