頂き物小説

□【笑顔の裏に隠れていたのは】
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快楽を耐える様にカカシの服を握り締めていたが、益々深くなる口付けにより止め処なく襲い掛かる快感に力を奪われ、ナルトは逃げる事も出来ずに乱れ堕ちていく。
 飲み込めない唾液が口の端から零れ落ちる刺激にびくりと肩を震わせた瞬間、遂に堪えきれずに力尽きぱたりと腕を落としてしまった。
 そのまま甘く激しい口付けを施しながら、己の腕の中で快楽に溺れるナルトの艶やかな表情を堪能していたカカシだったが、満足したのかそっと唇を離すと銀色の糸が2人を繋いでいて。

「ふあっ!はあ……はあ……はっ……」
「愛してるよ、ナルト……」
「んっ!」

 必死に乱れた息を整えようとする口の端から零れ落ちた唾液をぺろりと舐め上げられ、ぞくりと走った快感に力を失ったナルトはぐったりと崩れる様にカカシの胸元へ身体を預ける。
 そのまま、はあはあと呼吸が落ち着くのを待っている間、カカシは愛しいナルトの髪や背中を撫で手に感じる気持ち良さを堪能しながら、優しくゆっくりと話し出した。

「ナルト……今までホントにごめんね……」
「はあ……はあ……え……セ、ンセ……?」
「今まで、オレは思ってた……誰よりもナルトを護ってるんだと、ナルトの助けになってるんだと……簡単に考えて、自惚れて、自画自賛して……そして、大切な事を見失ってたよ……」

 まさかそんな風に謝られるとは思わなかったナルトは、カカシの言葉に勢い良く顔を上げる。すると、そこには悲痛に満ちた表情を浮かべるカカシがナルトを見つめていたのだ。
 何時も飄々としていた姿とはかけ離れたカカシの表情に、ナルトは息が乱れているのを忘れて激しく頭を振る。

「……そんな、こと……ないってば……だってカカシ先生は、いつもオレの事……見ててくれて……助けてくれてた……」
「んーん、そうじゃなかった……本当のナルトを、もっとちゃんと見るべきだったよ……そうすれば、もっと早くナルトを助けてあげれたんだから、ね……でも……」
「……でも?」
「でも、もうこんな愚は犯さない……これ以上、ナルトを苦しめたりしないから。だから……もう独りで我慢しなくても良いからね……ナルトの光も闇も、ナルトの全てを護れる様に……もう、自分が幸せになっちゃいけないなんて、思わない様に……もっともっと、オレは強くなるよ……だから、これからは……共に生きて、共に幸せになろう……ね、ナルト……」

 そう言いながら今度は愛しげな笑みを浮かべ、強い決意の瞳で己を見つめるカカシの姿に、ナルトの目から喜びの涙が零れ落ちていく。

「……カカシ……せんせー……うっ……ひっく……」
「大丈夫……ナルトが知らなかった事も、不安にならない方法も、オレがちゃんと教えてあげるから……焦らなくて良いんだよ。大丈夫、ゆっくりと……時間を掛けて知っていけば良いんだから……」
「ふええ……カカシ先生ぇ……ひっく……」

 そしてぽろぽろと涙を溢れさせ、再びしがみついてきた愛しい人を優しく抱き締めると、カカシは万感の想いを込めて囁いたのだった。



「愛してるよ、ナルト……」




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