She's back 2

□CHAPTER.5
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「ウヒョン兄さん。」

「…」



あの夜からウヒョン兄さんは更に話してくれなくなった。私を見てもくれなくなった。

他のメンバーとは仲直りしたのに。私との溝は日に日に深さを増していくようで。



「テレビつけるね。」



あれから、戻ってきてから、

たくさんのテレビに出てたくさん歌って、 たくさんライブもしたね。

庇ってくれて、叱ってくれて、みんなには感謝しなきゃ。



「ちょっとだけ、待ってて。みんなも呼んでくる。」


小さく呟いて、私は寝ているみんなを起こした。昨日は遅くまで練習したもんね。疲れているよね。

ごめんね、大事な話があるんだ。

あー私が男だったらって何度思ったか。



「ほら、起きて。大事な話なんだ。」



そういって、みんなを起こしてリビングに呼んだ。



「みんなに言わなきゃいけないことがある。」

「まさか、出ていくとか言わないよね?」


勘のいいホヤは気づいてしまう。


「………」

「なんで?もう出ていかないって言ったじゃん!」


ソンジョンは黙る私に悟ったのか、攻め立てるように私の肩を揺らした。


「みんなには迷惑はかけないようにやったつもり。」

「は??なにをやったって…」



『緊急のニュースが入りました。たった今、国民的アイドルINFINITEのメンバー、なむじゃが性別偽装の疑いがあるとして警察が取り調べ容疑を認めたとのことです。

事務所側は全く知らなかった。メンバーも全然気づいていなかったようだと驚きを隠せないようでした。』


「おま………」



───パシンッ



ソンギュ兄さんの手は小さく震えていた。
少しジンジンする頬を気に止めず、ソンギュ兄さんを見つめた。



「お前、自分だけ悪者になる気か?」

「泣かないでください。泣くときはカメラの前でお願いします。その方が盛り上がります。」

「お前、本気で殴られたいのか?」

「ソンギュ兄さん、もう私のことは忘れちゃえばいいんです。私だって忘れます。」

「お前、いい加減に…」

「簡単な話です。幻だった、夢だった。って思えばいいだけ。もう夢物語は終わりです。」

「じゃあ、なんで泣きそうな顔してんだよ。」

「あーやっと普通の女の子として生活できる!髪のばして、可愛い洋服来て、町に出掛けられる!こんなに嬉しいことは無いです!」



笑えてるかな?演技は上手いって言われたから、大丈夫なはず。




「もう、お前、意味が分かんない。」




そういって、私の腕を引き寄せ抱き締めたのはウヒョン兄さんだった。






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