小説
□生命のある星
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ギルガリム
その世界に私は生まれてきた。
世界を危機から救う為に…そのはずだった。
ギルガリムの世界樹から外に出ると、光はなく、草木もなく、風もなく、水もなく、大地は荒れ果て、初めて見た世界を私はどう思っただろうか…
唖然としたか?絶望したか?恐怖したか?いや、どれも当てはまる事はない…私はまだ心を知らなかった頃だ。
「何もない」
そう言った事は覚えている、生命がないと言う意味だった。
それを理解したのは、少し後の事だった。
外の世界と世界樹の中とは余りにも違いすぎた。
世界樹には生命がある、しかし外の世界にはない…私は世界樹の生命を外に流す事にした。
世界樹の周辺には草が生え始める、これで良いのだろうと思っていたが、今度は世界樹が弱まり始める。
私は流れを止め、考える…どうしたら生命が溢れるだろか…
考えている間に草は枯れてしまった。
色を失ってしまった。
この世界には世界樹のように色は無かった。