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□優しい笑顔
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「………あや…み………あやみ……彩水」
真っ暗な暗闇の中から聞き覚えのある懐かしい声が聞こえて、その声に私は目を覚ました。
「大丈夫?彩水…少し疲れてるんじゃない?」
「えっ…」
私の目に映ったのは、病院のベッドに座るお母さんの姿。
「お母さん…どうして」
「泣いてるけど、怖い夢でも見たの?」
お母さんの手が私の頬に触れて涙を拭き取る。
本当だ。私は泣いていた、私は海に落ちてどうなってしまったのかな…生きてるのかな…
そうだ…里奈さんは!無事…なのかな…
生きていてほしい…里奈さんだけでも生きていてほしい。
「里奈さん…里奈さん!」
私は里奈さんの名前を呼び、身を案じる
拭えない不安が私を締め付けている。