短編
□予約完了
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「名無し、これ見ろよ!」
「何それ!ヤバイ!ヤバイからっ!」
今は船を降りて島で買い物…と言うよりデートしている。久しぶりの地面とお店で、私がエースに買い物したい!と言うことでサボとデートすることに。
今見てるお店では面白い物が沢山あって、エースも私も面白い物を見つけては見せあって笑ってた。
「あ、ここの棚の物可愛い…」
面白い物とは逆に、可愛い物ばかり並ぶ棚。その棚を1つ1つ、丁寧に見ていく。
「これ可愛い」
「何かいいもんあったか?」
私がキラキラと目を輝かせて見ているのは金色の細い指輪。小さな白いストーンがはめられていて、すごく可愛い。
「気にいったのか?なんか普通だな!」
ケラケラと隣で笑うエースにムッとした。いや、どーせそんな反応とは思ってたけど、思ってたけどさ?可愛いのに共感して欲しいじゃん?
…や、エースにそんなこと求める方がどうかしてる。
私は肩をおろして指輪を棚に戻した。
「あれ、欲しいんじゃねぇのか?」
「欲しいけど誰かさんがバカにするから」
「おれのせいかよ」
そして何かまた店を回るエースを放って店を出た。この店にいたらあの指輪が気になってしょうがない。お金ないけど買ってしまいそうだ。
「ちょ、待てよ!」
外に出ている私に気づいたエースが慌てたように息を乱して出てきた。
「待ってるじゃん。外で」
「お前なぁ…」
はぁ、と息を整えたエース。
「ほら、手」
「…ふあ?」
意味が理解出来なかったけど、とりあえず右手をエースに差し出した。
少しひんやりした感触が薬指に通ってく。
「誰かさんが先々行くから、ラッピングもしてもらえなかっただろ」
ニカニカ笑うエースが放した私の右手の薬指には、さっきの指輪。
「!!」
「嬉しい?」
ドキドキと高鳴る胸。驚きのあまり言葉が出なくて、小さく頷いた。
まさかエースが…あのエースがこんなことしてくれるなんて。はめられた私の手を見つめて指で撫でる。
「そんなに嬉しいか?」
「うん、すっごく…」
「じゃあ、左手薬指に指輪はめたときの反応が楽しみだな!」
耳元で囁かれたエースの言葉に、ただ顔を赤くして呆然としてた。
左手薬指、予約完了。
(…はめてくれるの?)
(いつかな!)
(…大好き)
(〜っ!!)