空白昼夢

□story 08
1ページ/4ページ



掴めそうで掴めない。

この空も、あの夢も、この時も―


   story 08

    違って見えた空






盃を交わし、兄弟となった。

サボとオレが貴族だと知っても受け入れてくれたエースとルフィ。お互いに皆、兄弟として隠し事は一切無し!

…て、嬉しいはずなのに、胸が痛む。チクチクと痛むオレの胸は、いつも隠し事に反応する。



「あぶないユメ!」

『ぶゅえっ!』

ガンッ!と大きな音をたてるオレの頭。上から木の板が落ちてきたのだ。そのせいで頭には腫れ上がるたんこぶ。

その板が降ってきた方から笑い声が聞こえた。すると笑ってるサボが顔を出した。続けてエースとルフィが顔を出す。


「あー、だから言ったのに」

「わりぃユメ!落としちまった!」

『ったた…。エースの拳骨より痛い…』

「おれのパンチと板を一緒にするな!」


痛む頭をさすって笑いながら、皆がいる木の上に向かった。


「どうした?ぼーっとして」

木に登るとサボが聞いてきた。考え事でぼーっとしてたんだろうな、オレ。
だけど考え事なんて言える訳もなく、オレは笑顔で答えた。

『眠たくてさー。ほら!ブブンのイビキ、うるさいだろ?』

「確かに!…後ダダンだぞ」

『それよりさ!早くできるといいな!秘密基地!』

「ああ…!」


先日、あれから色々あった。
フーシャ村からマキノとじじぃ…じゃなくてガー…なんちゃらって奴が来たり。

ガーゼは(また名前違うぞ byサボ)、オレ達皆が海賊になるのが反対らしく、海賊の話をしたところを聞かれてボコボコにされた。くそじじぃガーゼは化け物みたいな強さでオレ達じゃ敵わなくて、ああ思い出しただけで寒気が…!
殺される。と判断したオレ達は独立することを決断した。




「スッゲェー…!設計図通りだ!」

「我ながらいい出来だ!」

「罠も仕掛けねぇとな!」


出来上がった秘密基地。本当にサボが考えた設計図通りで、オレの想像してた通りだった。

「?どうしたユメ?黙り込んで…」

今日からここがオレ達の家みたいなものだもん…。そら黙り込むよ。言葉が出ない。言葉に出来ない想いがあって…それはよく分からなかった。


オレは真っ赤に染めた頬っぺたで、満面の笑みを見せた。




基地の少し上にある小さな展望台みたいなものがある。そこに四人の旗を掲げた。四人の頭文字をとったものだ。


『うわあ…』

「スッゲェ!」

そこから見える景色。隣にいるルフィも思わず声をあげていた。


「どうしたんだ?」

下からサボとエースが不思議そうに聞いてきた。


「グレイ・ターミナルもフーシャ村もイーストブルーの海も…全部見える!」

「別にそんなの珍しくないだろ?」

『ここからがいい…!』


?を浮かべるサボとエースも上がってきて、景色を見渡した。

「確かに、違うな…!」


ゴミ山もフーシャ村もイーストブルーの海も、森も…空も全部見える。
空がすぐ近くにあって、今にも掴めそうなくらいだ。

いい景色…。








_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ