空白昼夢

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あれから徐々にオレの気力は取り戻され、なんとか歩ける状態になった。だけどまだフラフラだからか『大丈夫』と言っても、ずっとおぶってくれるサボ。

勿論、サボとエースはポルシェーミに勝った。



ある程度まで森に入ると、サボはオレを降ろし、ぐったりと座り込んだ。エースも腰をおろしてる。
そしてうるさい程に泣き散らすルフィ。



「お前、悪い癖だぞエース。本物の海賊相手に逃げねぇだなんて…なんでそう死にたがりなんだよ…」

呆れたように言うサボに対し、エースは呑気に鉄パイプを眺めてた。
その様子にため息をつくサボ。



「こんなことしっちまって…。ブルージャムはもうおれ等を許さねぇぞ。この先追われる…」


「うわ〜〜ん!死ぬがど思った〜!怖がった〜〜〜!!」

「あーうるせぇ!イライラする!おれは泣き虫も弱虫も大嫌いなんだ!!」


イライラを溜めてたのか、エースが怒鳴った。するとルフィは歯を食い縛り涙を止め、それに驚くエースとサボ。


「あ゙っあ゙りがど…。たっ…、助げでぐれでぇ〜〜!!」


しかし、やっぱり涙は抑えきれずボロボロと再び泣き出すルフィ。


「お前ぇな!!」

「まーまー。礼を言ってるだけだろ」


そして再びキレるエースを止めたのはサボ。エースは表情を変え、また話し始めた。


「大体!お前、何で口を割らなかった!」

「だって…喋ったら、友達になれねぇ…」

「なれなくても死ぬよりマシだろ。どうしてそんなにダチになりてぇんだよ!」



ぐっ、と歯を食い縛るルフィ。涙を堪えてるせいで、声がガタガタと震えてた。

「だって!!!」
かと思えば大きな声で、涙を流しながら話し出すルフィ。


「だって!他に頼りがいねぇ!フーシャ村には帰れねぇし…山賊は嫌ぇだし…。
お前を追いかけないと1人になる!1人でいるのは、痛ぇより辛ぇ!!」



オレは前に、ルフィからこの話しを聞いた。その時も感情はこもってたけど、今はもっとルフィの気持ちが伝わる。痛いほど伝わる。



「…お前はおれに、生きててほしいのか?」

エースが小さくルフィに問いかけた。
泣き顔だったルフィの顔は一瞬にして変わり、「当たり前だ!!」と大きく怒鳴り答えた。


エースは少し間をあけて
「けどやっぱり、おれは弱虫も泣き虫も嫌いだからな」と言った。


エースのルフィに対する気持ちが変わった。オレはそう思った。

なんか嬉しくて、心臓があったかくなった。







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