空白昼夢

□story 02
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青く晴れた空も、
いつか世界の愚かさに呆れて身を焦がす

こんなにも空はきれいなのに





story 02

(( 空方 ))








「エース!こいつが昨日言ってた――」

「…空き缶野郎か?」

『なっ…!』



サボに連れられ着いた先は、グレイ・ターミナルの近くの森だった。


森には少ししか入ったことがなかったから、ここがどこなのかは分からない。

てゆか、人の気配もなく、いるのはオレとサボと……そばかす君だけだ。



どうしてオレがこんなとこにいるかって?

それはついさっきの事……








【少し前…】






『ふは?中間の森?』


サボは良いことを思いついたように、ニカニカと笑ってたから、ハテナを浮かべるオレ。

サボは中間の森…グレイ・ターミナルの近くにある大きな森に、遊びに来いと言う。


「そ。そこにおれの親友がいるんだ」

『へー…だから?』


サボはとてつもなく良いことの様に話すが(そこまで言ってない)、オレにはそれが理解できなかった。

サボの親友がいるからって、だからなんなんだろう。



「グレイ・ターミナルなんかでウロウロしてても暇だろうし、何かあればおれやエースの所に来るといい」

『ほーナルホド!』








【そして現在……】




『って空き缶野郎はねぇだろ!!』


オレはそばかす君とケンカっぽいのをしている最中だ。



「サボが言ってたんだ。文句あんのか、チビ」

『大アリじゃ!チビじゃねーよ!!』

「ふんっ。チビじゃねぇか」

『くぅぅっ…!!』


「まーまー落ち着け、二人とも」



オレの怒りはサボによって一時おさえられた。

だってチビって…!どいつもこいつもチビチビって…!


そんなイライラしてるオレを見て、サボは苦笑いを浮かべながら「エースはちょっと乱暴的なんだ」と言った。

いや、ちょっとじゃねぇじゃん!!


そんなオレを見て次はそばかす君が鼻で笑った。…あー、ムカつく。



「エース。これからユメもたまにここに来るかも知れないから、仲良くやってくれよ」


「あ?何でだよ?」


「やー、おれコイツ気に入っちまって」



ハハッ、と頭をかいて笑うサボ。

気に入ったってオレの事なのか…?


そばかす君はオレの顔を見て睨み付けた。

そして明らか不機嫌です、と言っているような低い声で「勝手にしろ」と呟いた。



なんか…その態度が気に入らない。




『サボー…』

「なんだ?」


『オレこいつ嫌いだ!』

「ふんっ。おれもだ」


「あ、アハハッ…」




お互いに睨み付け合って、オレは背を向け歩き出した。


「あっユメ!」

『オレ帰る!』





……帰りたくないけど、帰るとする。

帰る意味なんて、あの家にいる意味なんてないのに…。




後ろからそばかす野郎の鼻で笑った声が聞こえてきた。







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