空白昼夢
□story 01
1ページ/6ページ
わたし、いや…"オレ"。
『あー…!腹減ったー……』
オレ、ユメ。7歳。
今日も1人、ゴミ山を歩く。
story 01
( 始まり )
グレイ・ターミナル…ここには誰にも邪魔されず、オレは自由になれる。
「高町」なんかよりずっといい。
『そろそろ帰らなきゃなー…』
さっきまで快晴だった青空は、いつの間にか夕焼けに変わっていた。
早くあの苦しい家に帰らないと。
…また、オレがオレから離れてく――
「ほら、あの子ですわよ…」
「まぁあの子が不吉な…」
「汚らわしい不吉なゴミ猫ね…」
オレの生まれた町である「高町」。
グレイ・ターミナルから高町へ帰ってそうそう、オレは貴族共に目を向けられる。
コソコソと話しているけど…
『(…丸聞こえなんだっつーの)』
キッ、と貴族共を睨んだ。
すると焦ったように目を反らす貴族共。
込み上げてくる笑いを堪えて、オレはまた歩き出した。
"不吉" "汚らわしい" "ゴミ猫"
いつしかオレにはそう言う名がついた。
そう言われても仕方ないとは思う。その通りなんだろうし。
「ユメ!どこに行ってたの!!」
バチン。
大きな音が、大きな部屋に響く。
まさか自分の頬っぺたから出ている音とは思えない程だ。
家に帰って、お母さんはオレをぶった。
別に悲しくもない。痛みすら感じない。
涙はとうの昔に枯れきったから。
お母さんの平手打ち。
これもいつものことで、オレにしては毎日なん十回もの事だった。
家にいる、それだけでオレのお母さんやお父さんは怒る。
なのにオレが家にいなかっても怒る。
こんなにも矛盾した場所。
オレのいる意味は何なんだろう。
_