空白昼夢

□story 01
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わたし、いや…"オレ"。



『あー…!腹減ったー……』



オレ、ユメ。7歳。


今日も1人、ゴミ山を歩く。



    story 01
      ( 始まり )




グレイ・ターミナル…ここには誰にも邪魔されず、オレは自由になれる。


「高町」なんかよりずっといい。







『そろそろ帰らなきゃなー…』


さっきまで快晴だった青空は、いつの間にか夕焼けに変わっていた。


早くあの苦しい家に帰らないと。
…また、オレがオレから離れてく――





「ほら、あの子ですわよ…」

「まぁあの子が不吉な…」

「汚らわしい不吉なゴミ猫ね…」



オレの生まれた町である「高町」。

グレイ・ターミナルから高町へ帰ってそうそう、オレは貴族共に目を向けられる。

コソコソと話しているけど…


『(…丸聞こえなんだっつーの)』


キッ、と貴族共を睨んだ。

すると焦ったように目を反らす貴族共。
込み上げてくる笑いを堪えて、オレはまた歩き出した。



"不吉" "汚らわしい" "ゴミ猫"

いつしかオレにはそう言う名がついた。


そう言われても仕方ないとは思う。その通りなんだろうし。






「ユメ!どこに行ってたの!!」



バチン。

大きな音が、大きな部屋に響く。


まさか自分の頬っぺたから出ている音とは思えない程だ。



家に帰って、お母さんはオレをぶった。

別に悲しくもない。痛みすら感じない。
涙はとうの昔に枯れきったから。


お母さんの平手打ち。
これもいつものことで、オレにしては毎日なん十回もの事だった。



家にいる、それだけでオレのお母さんやお父さんは怒る。

なのにオレが家にいなかっても怒る。



こんなにも矛盾した場所。

オレのいる意味は何なんだろう。










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