オレンジ!
□05話
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『あ、それでエースがどうしたって?』
ナーシャが言ってた言葉を思い出す。
「そうそう!」と焦るナーシャに首を傾げた。
「なんかアンタの事探しててさ、連れてきてって頼まれたんだった!」
私の腕を引っ張って「行くよ!」と走るナーシャ。
(一応)2番隊隊長のエースは、皆からしたら結構目上な存在で、ナースのお姉様からすると大きな存在。勿論ナーシャもだ。
ズリズリと廊下に引きずられる私。結構痛い!
『何で探してたの?』
「分かんない!…結構怒ってた」
『…行かなきゃ駄目?』
「駄目に決まってるでしょ!私の身が危ないってのバカ!」
…だからって私の身が危ないのに連れてくってどうよ。
エースが怒ってる、と言うことは訳が分かんないけど大概私が理由だ。そしてかなり怒られて燃やされかける。イコール命の危機。
それを承知のうえでエースのとこに行くって…行くって、もう自害じゃん!
とにかく容赦なく走るナーシャ。皆の想像通り、私は色んな障害物にぶつかってる訳で。…結構痛い!
『バッカ、ナーシャ!頼む!見逃して!』
「駄目!」
『無理無理無理!…あ、マルコんとこ行かなきゃだし!』
「嫌がってたでしょ!」
『今なら行ける!嫌じゃない!楽しい嬉しい!あと痛いんだよぉぉおぉおお!』
「うるさい」
『くっそ、エースの馬鹿!エースの火フェチ…「あ、エース隊長」ぶぶっ!!』
引きずられ、もがく事数分。
とにかく身体中とクルーの皆の目が痛かった、…じゃなくて。
地面に横になる私と、私の前で仁王立ちしてるエースの目が絡み合った。
「誰が火フェチだ」
『ひぃっ…!』
そのあまりに恐ろしいドス黒いオーラに、私は細く小さな声が漏れた。
エースは手首を掴み私を立たせた。その力はいつもと変わらない強さだけど、なんだか恐ろしくてたまらない。
『ナ、ナーシャ…』
そうだ、ナーシャ!助けっ…、って、いない。くっそ!どいつもこいつも!
恐る恐る視線をエースに向けると、エースは私をまじまじと見ていた。がっつり目が合った。何見てんのよオイ!
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