脱色長編.
□4年後シリーズ 1.Spring〜始まり・出会いの季節〜
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大学の入学式の日。
桜の花びらが舞う今日この頃─────。
いよいよ待ちに待った日がやってきた。
ふと、4年前の事を思い返してみた。
ルキアと別れてから4年、俺はあれから一時もあいつを忘れた事はない。
逢いたいと思えば思うほど感情が抑えきれなくなる。
あの日から何度、尸魂界に行こうと思ったか…、
そして何度行く事が出来なくて悔やんだか…。
浦原さんに頼もうとも思ったがそんなコトだけの為に頼むのも少し気が引けた。
あいつのコトを思い出す度、胸が締め付けられるような感覚に陥る。
辛くて、切なくて…
別れたあの日
本当は話したかった事が物凄く沢山あった。
本当は、寂しかった。
別れたくなんかなかった。
あんな別れ方をしたくはなかった。
きちんと“さよなら”を言いたかった。
でも、それももう出来ないんだという現実をつきつけられる度なんであの時もっと大切な事を伝えられなかったんだろうと思う。
そして、今日の今までずっとそんな事ばかり考えていた。
決して逢うことはないだろうという相手なのに、何時も傍に居るようなそんな気さえした。
それは見えていないだけで本当は何時ものように隣に居て笑っているんじゃないのか、そう思えた。
だからこそ逢いたかった。
今すぐ力強く抱き締めて「大好きだ」ということを伝えたい。
あの時伝えられなかった事を今度は全てを伝えたい。
そして2人で笑い合いたい。
毎日顔を見て、他愛のない会話でもして楽しく幸せな日々を送りたい……
大学への入学が決まってから嬉しい気持ちとそんな事が入り混じって複雑な気持ちで過ごしてきた。
なんとなく、ルキアが転入してきた時の事が脳裏によぎる。
あいつは何時でも明るくて、優しくて、強くて───
そんなところに知らぬ間に惹かれていったんだと思う。