裏・聖峰学園生徒会執行部
□役員収集開始
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聖峰学園。
日本全国の令息令嬢が募る超名門私立学校。
幼稚舎、初等部、中等部、高等部‥そして聖峰大学というエスカレーター式。
たいていの者は幼稚舎からそのまま大学まで同じ敷地に通い続ける。
そして幼稚舎から大学までの全ての生徒を統べる者達が居る。
聖峰学園生徒会執行部。
生徒は中等部、または高等部から選出され、選ばれた者は学園を卒業するまですべての生徒の模範となり全ての生徒を統率しなければならない。
「‥‥そういう理由で、俺は君達を選出させて貰ったんだ」
現・生徒会執行部会長
聖峰学園大学4年
久世 海斗
にこやかに微笑む彼の正面に座らせられているのは、今だ新しい匂いの漂う制服に身を包む少年達。
「それ位俺達でも知ってますよ‥‥それに知らなかったことを知ったところで答えは変わらない」
右端に座らせられている少年は鋭い目つきで久世を睨む。
聖峰学園初等部6年
藍田 涼一
「そうか。でもね‥‥君達に向いていると思ったから、俺は君達を選出したんだ」
「向いてる?僕らが?‥‥生徒会長さんって結構馬鹿なの?」
「こら、旭!そんな言い方失礼だろ?」
「だって‥‥ねぇ?」
「ったく。本当に旭は‥‥」
聖峰学園初等部6年
椿 旭
月島 康仁
「仕方ないじゃないか?旭の言うことは間違ってないと思うよ‥‥」
「その根拠は?」
「‥‥‥この4人のまとまりの無さが分かってないね。リーダーの居ないただのおふざけ集団の俺達を集めて何になるのかな?」
聖峰学園初等部6年
滝園 清吾
「おふざけ集団ですって?笑わせないでいただける?」
「‥‥‥‥美空、お前は少し黙っていてくれ」
「あら、失礼。けれどこの子達、あれだけ目立っておいてただのおふざけ集団を名乗るなんて‥‥あまりにも滑稽だわ」
聖峰学園大学4年
西園寺 美空
海斗の横に座る彼女は顔こそにっこりと笑っているものの、目は明らかに涼一達を見下し、嘲る様な眼差しだ。
「‥‥‥好きで目立ってるんじゃないんですが」
「悪いね。少し口が悪くて。けれど、君達の頭脳と実績でただのおふざけ集団を語るのは‥‥確かに滑稽だ」
「‥‥会長さん。僕が馬鹿って言ったから怒ってる?」
「いいや。そんなことじゃ怒らないさ」
海斗はゆったりと足を組み替える。
そして、自らの脇に置いてあった1冊のファイルを涼一達の前に置く。
見るからに普通ではないファイル。
それを出した海斗は全く表情を変えずに話を続ける。
「‥‥俺には君達が酷く退屈そうに見えた」
「‥‥‥‥へぇ」
海斗の言葉に、涼一は少し口角を上げる。
【おもしろい】そう思ったのだ。
下調べはしてあるのだろうが、あって間もない男にそこを突かれるとは思わなかったからだ。
「そこで交渉したい。君達に生徒会執行部員になって貰うのと引き換えに‥‥‥‥退屈の有り得無い学園生活を提供しよう」
「‥‥‥それは、少しフェアじゃない」
「そうだね。引き受けるものが大きすぎる」
旭も面白いと思ったのか、話に入ってきたということは乗り気ではあるということだろうか。
「確かにな‥‥面白いのはいいけど、4人は少ねぇよ」
「でしょ?僕も康仁と同じ意見。大きいのを減らすのは大変だからせめて少ないのを増やして欲しいな」
「‥‥‥引き受けてくれるなら、メンバーの増減は君達に任せるよ。なぁ?美空」
「えぇ。でも綺麗な顔の子にしておいたほうがいいわね。嫉妬なんて醜いものに影響されちゃたまらないわ」
美空はわざとらしく肩をすくめて見せる。
海斗は困ったように笑ってから、涼一たちに提案する。
「メンバーを決めるときにそのメンバーの顔写真を俺か美空に送ってくれないか?それで判断するから」
「ああ、あと家柄と成績もよ?いい?」
「‥‥‥うわー、露骨」
「まぁそう言ってくれるな。いいね?」
「分かりました。‥‥で、そのファイルの意味‥‥そろそろ教えていただけますよね?」