dream*゚BASARA
□どくん、どくん。
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「琴実、こっちへ来い。」
ある午後。
部屋で書物を読んでいた私を、三成が呼びに来た。襖の隙間からちょい、と手招きする姿が愛らしい。
はーい、と本にしおりをはさんで、部屋を出る。
三成は廊下で待っててくれていて。
少し恥ずかしそうに俯いて、私の前を歩く。
「三成が呼びに来るなんて珍しいね。大切な用事?」
後ろから話し掛ける。
みしみし、廊下の軋む音。少しの沈黙のあと、
「いや、ただこ、琴実に会いたかっただけだ…。」
そう紡がれる言葉は震えていた。
「ふふ。三成照れてる?かーっわいー!」
いつも冷静な彼が照れた姿は新鮮で。
いつも意地悪されてるから、ちょっと仕返ししてみた。
「なっ…!て、照れてなどいない!!」
真っ赤な顔してそんなこと言うから、思わず可愛くなって後ろから抱きしめる。
背中越しに伝わる彼の体温。
早まってく彼の鼓動。
「照れてるでしょ!隠しきれてないよー!」
だって、こんなに鼓動が早まってるしね。
体も、熱いし。
「う、うるさい!」
怒ってそっぽを向く姿もまた、愛しい。
「三成…大好き。」
あ、また熱くなった。
どくん、どくん。
私の鼓動も、君に伝わってるかな?