バジリスク

□第一章
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昔のことはなし……


「伊賀に行きとうなった」

そう小さな男の子がいうと小さな女の子が笑い嬉しそうにしていた

二人は遊んでいたが気になる部屋があった
そこの前で誰かがその部屋のなかにいる人とはなしていた

「何を話してるんだろう」

「ならば少しだけ聞こう」

弦之助と呼ばれる男の子がそう言い二人はこっそりと聞き耳を立てる

『外に……出たい……』

「いまは伊賀と甲賀のものがおりますゆえに今日は出られないかと……」

『父様はどこに?』

「源次様はいまここにはおりませぬ……戻られるのは夕刻かと思われます」

『父様に会いたい……外に行きたい……』

「お気持ちはわかりますがあなた様は源次様の一人娘……つまりは徳川様と同じお立場…ゆえにそれは聞き届けられぬ願いでございます」

『……そう……』

「ではわたくしめはこれで」

そう言うと部屋の前にいた男は部屋に頭をさげ去っていく
その男が去っていったあと二人の子供は部屋をみて


「あの中の子かわいそう……」

「なら外に連れ出してあげよう」

そういい二人はその部屋に近づき

「あ、あの」

『だ、誰!?』

「甲賀弦之助じゃ」

「お、朧です」

『伊賀と甲賀の…』

「い、一緒に遊びませんか?」

『えっ』
『でも私はここから…』

「少しだけならばれたりはしない」

「遊びましょ」

『…うん!』

そして中にいた子は外にでてきた



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