Happy Birthday
□もう、さようならの時間だな
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事務所のソファーでくつろいでいる俺を後ろから抱きしめる女の子。
『むぎゅー』
なんて、変な効果音つけるのはアイツしかいない。
『ヒチョラ〜』
ほら、やっぱり。
「何だよ***。てか呼び捨てやめろ」
『何でもない。うるさいヒチョラ〜』
「お前なぁ、いくつだ?あぁ?」
『15さぁ〜い』
「俺はいくつだ?」
『ん?アラサー』
「ったく、アラサーって言うのやめろ。てか、いい加減離せ!」
やだ〜って言って余計きつく俺を抱きしめる。
『むぎゅー』
何となくわかる。
こいつがこんなに俺をきつく抱きしめる理由。
「なぁ、***」
『ん?何?』
「なんでもない」
『何それムカつく』
「ムカついてろ。ま、もうすぐで俺にムカつくこともしばらく出来ないけどな」
そう俺が言うと黙り込む***。
しばらく沈黙が続いて、ふと耳元からぐすんっとすすり泣きが聞こえた。
『ねぇ、ヒチョラ?』
「ん?」
『離れてもアタシのこと忘れない?』
「あぁ忘れないよ」
『本当に本当に?』
「あぁ本当に本当に」
『絶対に絶対に?』
「あぁ絶対に絶対に」
そっか。ってまた黙り込む***。
そして俺をまた強く抱きしめる。
そろそろ…
さようならの時間
俺は明日、入隊する。
「***。ぢゃあな」
『オッパ!頑張ってね』
「やっとオッパって言ってくれた」
─────
1ヶ月の軍事訓練を終えた俺は宿舎通いの公益勤務になった。
だけど俺は、事務所には滅多に行けないし
メンバーたちの舞台やコンサートを見に行っても
海外で人気のある***は、いつも海外の仕事でなかなか韓国にはいない。
***以外のSMfamilyには毎週のように会うのに
結局、***とは一回も会わないで過ぎて行った8ヶ月。
だけど、今日は。
とにかく今日だけは君に会いたかった。
今日は***の誕生日。
職場から帰って真っ先に、***のセンイルパーティーが行われてる事務所に行った。
扉を開けるともうファンとのセンイルパーティーは終わっていたみたいで
事務所のみんなで***を祝っていた。
開いた扉を見て、俺に気付いたジョンスがヒチョルだーと大声ををあげると
あっという間に僕の存在が***にわかってしまった。
『え?ヒチョル…』
信じられないっていうような顔する***。
俺はステージの***のところへ行き、いつもの会話をする。
「***、きちんとオッパって呼べ!俺は何歳だ?あ?」
『アラサー』
「うるせえっ!お前は何歳だ?」
『16さ〜い』
「おめでとう***」
そう言えば
『ありがとう、オッパ』
なんて目に涙を溜めて言う。
「むぎゅー」
『ははっ!何、アタシの真似?気持ち悪い』
***があの日、俺にしてくれたみたいに変な効果音つきで抱きしめる。
「うるせえっ!俺に会えて本当は嬉しいくせに」
『ばーか!誰がヒチョルごときに喜ぶか!ヒチョラぢゃなくてホンギオッパだったら喜んだ』
なんて可愛げのないことを言うから
俺は君に言うんだ。
もう、さようならの時間だな
そうすると***は、いつもみたく
『むぎゅー』
って、変な効果音をつけて
『ヒチョル、頑張るんだよ』
って優しく微笑んでくれた。
fin.