School Love

□ほのかに香るエタノール
2ページ/2ページ

 



「ったく、先生居ないのかよ」


保健室に行けば先生は出張中でいなかった。



「ほら***、そこ座って。俺が見てやるよ」

みんなの前では###と名字で呼ぶのに、2人の時は***と名前で呼ぶジョンヒョン。



『ジョンヒョンに出来るの?』

「出来るから」

そう言ってジョンヒョンが綿を取りだし、エタノールに付ける。



「染みるけど、少し我慢して」

ジョンヒョンがアタシの足を押さえて綿を押し付ける。


『…っ!』

少しの痛みが走って目をギュッと瞑れば


「お前、顔やばっ」

ジョンヒョンが笑う。



『なんかジョンヒョンとこうして笑い合うの久しぶりだね』

高校に入ってからはあまりジョンヒョンと話さなくなった。


「ま、俺がモテモテだからね」

なんてジョンヒョンがドヤ顔する


『きっも、ジョンヒョナ』

「は?お前に言われたくないし」


なんて昔みたいにギャーギャー言い合って


気が付けば2人の距離が自然と近くなっていた。



急に目を反らすジョンヒョン。



「***…」

『ん?』

「瞼にゴミ付いてるぞ。目閉じて」


そう言われて目を閉じる。



そうしたら唇に何かの感触がする。

びっくりして目を開ければ目の前にはジョンヒョンの綺麗な顔。



反射的に顔を離すと


「なんだよっ!」

ジョンヒョンが真っ赤な顔をしてそう言った。


『な、なにしてっ、』

心臓がバクバクする。


「ん?キス」

真っ赤な顔のくせに平然な口調でそう言う。


『意味わかんないっ!』

そうアタシが言えば

「***のことが好きなの」

これで十分?


そう言うとニヤッと笑ってまたアタシにキスをする。



エタノールが少し香る保健室の中で、甘い甘いキスを。



fin.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ