School Love
□カーテン越しに囁く声
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病弱なアタシは保健室にいることが多かった。
芸能界デビューを目指して入ったこの、ソウル公演芸術高校。
だけど、こんな病弱なアタシにはもう、居場所はない。
みんな夢に向かって一生懸命練習しても、アタシは体調が悪くて見ているだけ。
そんなんだからクラスに居ることが辛くて、体調が良くても最近はずーっと保健室のベッドの上。
1人、布団に潜りながらボーッとするのが日課になった。
「***ちゃん、アタシちょっと会議に行ってくるね」
そう行って先生が出ていってすこし経った頃、ドアが開いた。
隣のベッドからぼすんっと音がする。
「ねえ、君。また保健室にいるの?」
隣から聞こえてくる声。
いつもの彼だ。
名前も顔も知らない。
ただ保健室に来ればアタシと話す彼。
『貴方だって、またサボり』
「んー、サボりなのかな?」
君に会いたいから来た。
そう彼は言う。
アタシはそんな彼の声が大好きだった。
月日が経って結局、保健室で話す彼が誰なのかわからないまま、アタシは高校を卒業した。
それと同時に、アタシはソロ歌手としてデビューが決まった。
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