A
□Lie
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「なー敦子まだ怒ってんのー?」
「ベーッ!だ」
2人して寝る体勢でベッドに潜り込んで、天井を見上げるあたしの横でみなみは肘をついて横になりこっちを見てる。
そんなみなみにあっかんべーをすれば、やれやれといったような困った顔をする。
ことの発端はみなみが電話に出なかったことと、折り返してこなかったこと。
せっかくみなみのために御守り買って来たのに、毎日のように会ってることを理由にかけ直さないなんて…ばかみな!
「御守りくれないの?」
「無くした」
「えーっ!!まじかー…」
しょんぼりと肩を落として本当に残念そうにするみなみ。
「もー…てか、どうしたら機嫌直してくれるの?」
困ったように頭をかいて、あたしの顔を覗き込む。
「じゃあ…ちゅーして?」
「へっ?」
「だから、ちゅー」
そう言えばみなみは顔を赤くして、目を見開いて早口で喋る。
「なっ、てかさっきラジオで仲直りのキスしたらいいと思いますって来たやつ却下したやん!!」
「当たり前じゃん!スタッフさんやみいちゃんがいるんだから!」
「そ、それはそうだけど…」
みなみの首に手を回せば、明らかにみなみの目が泳いで悩んでる。
そんな、いつもしてることなのに…
あたしからが多いけどさ。
「ちゅーは?」
近くなるあたしとみなみの顔の距離。
あたしの心臓もドキドキとより音を立ててる。
「あーもう…」
みなみがそう言うと、あたしとみなみの唇が重なった。
チュッとリップ音を立てて恥ずかしそうにするみなみ。
「機嫌…直った?」
「…もう一回」
そうおねだりすれば優しいみなみはもう一度唇を重ねる。
「もう一回…」
そう言う度にみなみはソッとキスをくれる。
最初から怒ってなんかない。
ただちょっと嘘をついてみただけ。
みなみがどうするかなって。
御守りだって、ちゃんととっといてある。
いつでも渡せるように鞄の中に。
「ばかみなみ…」
「なんでやっ」
そう言って笑うみなみがどおにもこうにも愛おしくって意地悪しちゃうんだ。
「機嫌直った?」
「うん、仕方ないから」
「仕方ないってなんやー」
「まだ本当は直ってないから」
「えー!!」
あたしはまた、みなみに小さな嘘をつく。
End