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□昔の話
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これは陽菜と付き合う前の…

変な夢見てんなー自分。




――――――――――――



『お疲れさまでしたー』




陽菜、みいちゃん、あたしの3人のユニットでの撮影が思ったよりも早く終わった。


せっかくの空いた時間だから、どこ行こうかなーなんて悩んで、買い物行こ!と決めた時だった。





「陽菜このあとどうすんのー?」

「んー買い物行こうかな。みいちゃんは?」


「あたしこれから別の仕事なんだよね…」




明らかにテンションが下がったみいちゃん。




てか、ぱるさんも買い物!?


こ、これは一緒に行こうって誘った方がいいのか!?





でも、まだそんな仲良くないし、2人じゃ緊張するし…



ただでさえぱるさんのことが好きなのに。





「たかみなはー?」



不意にふられたぱるさんの一言。




ど、どうするあたし!?





「あ、えと、家に帰る!」

「そっかー…」




ヘタレ。

チキン。



仲良くなるチャンスじゃないか自分。



そんなチャンスを無駄にし、さらには嘘までつくなんて…


まあ、どうせ合わないでしょ。






なんて思っていたのが甘かった―










「あれ?たかみな?」



聞き覚えのある声に後ろを振り返れば、そこにはぱるさんの姿が。


とあるお店で服を選んでいれば、同じ店にたまたま現れたぱるさん。





「ぱ、ぱるさん!」

「…家に帰るんじゃなかったの?」




あれ?心なしか不機嫌?




「いや、帰る途中でやっぱり今日行っとこうと思って!」

「ふーん…」




な、なんか冷たい?

気のせいかな?




「まあいいや、じゃあね」




そう言って呆気なくぱるさんは行ってしまった。

な、なんだったんだ!?






その日の夜―



寝ようと布団に潜り込んだ時、電話が鳴った。




「もしもし?」

『陽菜だけど』


「ど、どうしたんすか!?」




ぱるさんから電話とか珍しいし、さっき会ったしちょっと気まずい。




『なんで誘わなかったの?』

「へ?」


『初めから買い物行くつもりだったでしょ?たかみなのばーか!!』



プツッ―



プーップーップーップーッ―





「ぱ、ぱるさん?」




わざわざそれ言うためだけに?

てか、なんで誘わなかったの?って…誘って良かったの?



誘って欲しかった…?





いやいやいや。

ぱるさんに限って…




でも、今の電話…




未だにドキドキとする心臓。





もしかして…ぱるさんは―




――――――――――――


「たかみなー!!」

「…ん……」


「起きてよー!」




ベッドの上に寝転がり、どうやらいつの間にか寝ていたらしく、あたしの上に跨がる陽菜。




「早く買い物行こうよー」

「…買い物」


「約束したじゃん!」

「いま、夢見てた」


「え?」

「陽菜に帰るって嘘ついて、買い物行って遭遇した夢」




そう言えば、陽菜はちょっと考えたあと、"あーっ!!"と騒いで




「やっぱりあん時、初めから買い物行くつもりだったんだ!!」

「え、あ、まあ…」



だってあん時はそんな仲良くなかったし…そうだ―




「ねぇ、陽菜」

「ん?」




ほんと可愛いな。

じゃなくて、




「あの時、もうあたしのこと好きだったでしょ?」




なんて言えばボッと顔を赤くして、"そんなわけ!!……ある"なんて言うもんだから、そんな陽菜が可愛いくて抱きしめた。




「やっぱりな〜」

「…うるさい」


「陽菜」

「なに」


「好きだよ」





End

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