StoryU

□Promise
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※前田さん目線





そいつは突然やってきた。





「今日から3年B組の担任の高橋みなみです!みんなよろしく!!」





身長低いくせに声でかいし、美人だけどいかにも熱血教師丸出しで、あたしとは全くもって合いそうもない。


こんな人が1年間担任だと思うと先が思いやられる。




なんて考えていたら前の席の優子がクルッと振り返って口を開いた。





「ね、あっちゃん!校内で人気の高橋先生だよ!!担任とかマジうれしー!」


「…そうなの?」




人気あるんだ…あんな暑苦しい人。


あたしは興味のあること以外本当に無関心で、教師なんて嫌いだし眼中になかった。





「ほんとあっちゃん興味ないことはどうでもいいんだね〜!でも、高橋先生の魅力はヤバいよ!」


「魅力ねー…」




顔を少し赤らめて話す優子が、あたしには不思議でたまらなくて、辺りを見渡せばみんな嬉しそうにしてる。



本当に人気なんだ…

 



高橋先生に目をやれば、パチッと目があった。



高橋先生はニコッとあたしに笑いかけて、教室を出て行った。





ドクン、ドクン―





変に高鳴る心臓に、あたしは気づかないフリをして机に突っ伏した。















あたしは前田敦子。

女子校に通う3年目の女子校生。



そんなあたしのなんの変哲もない毎日が、変わろうとしていた―













「あっちゃーん!帰ろ?」


「あ、うん!」



ぼーっと担任のことなんて考えてたら、クラスの違う恋人の佐江ちゃんが教室まで迎えに来てくれた。




佐江ちゃんは学校1を争うくらいのイケメンで、バスケ部のエース。


そんな人があたしの恋人だなんて考えらんないけど、あたしも佐江ちゃんのことが好き。





もう付き合って1年経つ。





手を繋いで帰るのが当たり前で、学校中の話題のカップルなんて言われたりもしてる。



廊下を話しながら歩いていれば、角を曲がった所でばったり高橋先生に会った。





あたしは咄嗟に手を離そうとしそうになったけど、離す理由がわからず立ち止まった。



「あっちゃん?」

「………」




「お、前田さんと宮澤さんじゃん!気をつけて帰れよ〜」


「高橋先生さよならー!!」

「………」




佐江ちゃんは元気よく高橋先生に手を振って、あたしはまた歩き出した。




「佐江ちゃん、仲いいの?」


「ん?あーまあね!だって高橋先生って自分と似てるし、すげーいい先生なんだよね!」





そうなんだ…


でも、あの人…あたしの名前もう覚えてた。



一度も教わったことも、話したこともないのに。





高橋先生か…







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