Story

□君が好きU
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『みなみ!!敦子が倒れた!!!』





え?……嘘でしょ?



麻里子さまの電話で知った。


恐れていたことが起こって、仕事を終わらせてすぐさま敦子の家に駆けつけた。



するとそこには麻里子さまがすでにいて、敦子はどうやら眠っているみたいだ。



「みなみ…また過労だって…」

「また…」



憤りを隠せない麻里子さま。

そもそも本当に敦子を働かせすぎだと思う。


ドラマ撮影の合間には雑誌の撮影やインタビューは当たり前。



あたしはベットに眠る敦子の手を握って座った。

心配させんなよ…



「…じゃああとはみなみに任せたわ。またね〜」

「あ、はい」



気を使ってか、敦子の部屋に2人きり。
 
敦子の顔を見ると、はっきりとわかるクマに疲れた顔。


言わんこっちゃない…



もうこれ以上心配させんなよ…
あたしの心がもたないよ。




好きだから

好きだからこそ心配なんだ。




ずーっと何年も隠してきた想いが、ふと溢れ出しそうになる。 




「……ん………たかみな…?」

「起きた?」



敦子は目を覚まし、今の状況がわからないらしくキョロキョロとしている。


「敦子、倒れたんだって」

「あ……そっか…」



その言葉の1つ1つに覇気がなくて、今にも枯れてしまいそうな花のようだった。

ベットの端に座って、敦子の髪を撫でた。



「…ずっと居てくれたの?」

「いや、さっき来たばっかで今まで麻里子さまが居たんだ」

「そっか…ごめんね」



敦子の口から出た言葉は"ありがとう"じゃなくて"ごめんね"

きっと何度も倒れてるから申し訳なくなってるんだと思う。




「謝んなくていいから、無理すんなよ?」

「うん、ごめん…」



敦子は身体を起こして、繋いでいた手を見る。



「へへっ」

「ん?どうした?」

「たかみなが手繋ぐなんて珍しいから嬉しくて」



そう言って力なく笑う敦子を見て、思わず抱きしめたくなる。

でも、抱きしめたらバレちゃう。



あたしの気持ちが…




「てか起きてて平気?」

「うん、大丈夫」

「なんか飲み物もらってくるわ」



手を離して立ち上がろうとした途端、敦子に腕を掴まれた。



「行かないで…ここに居て?」

「あ、はい…」


きっと弱ってるから寂しいんだと思って、またベットに座り込んだ時、敦子に抱きしめられた。



「…あ、敦子?」

「今だけでいいから…傍にいて?」




もう流石の高橋も限界です。





End

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