Story

□風の行方U
1ページ/1ページ





あれから1年も経つんだ…


撮影のためスタジオに来ていて、携帯電話のディスプレイに写し出される日付を見てふと思う。



なんで陽菜たち別れたんだろう…



別れた理由が思い出せなくて、ちょっと苛々していると隣りに座っていた麻里ちゃんが話しかける。



「にゃろ顔険しいよ?」

「ん、うそ」

「ほんと。考え事?」



考え事と言えば考え事。


陽菜とたかみなは別れてからはメンバーとして普通に過ごしてきた。

今までの付き合いが嘘みたいに。



でも、2人で遊ぶとかそんなのなくて本当に仲間っていう関係でこの1年過ごしてきた。



陽菜は別れてから一度も、たかみなのことを好きじゃなくなった日はない。


別れてからもずっと、たかみなのことが好き。



「もしかして、またみなみのこと?」

「え!?違うよ!?」

「その図星だと声が大きくなる癖、やめた方がいんじゃない?」



麻里ちゃんは何でも陽菜のことはお見通し。

ほんと怖いくらいに。



「全く…戻りたいなら戻りたいって素直に言えばいいのに」

「だって、別れた理由思い出せないし…」

「呆れた…にゃろらしいというか…」



俯いて開いた携帯の待ち受けはあの思い出の海。


1年記念日で行った海とたかみなと陽菜の写メ。



「1年もうじうじしちゃって…芋虫になるぞ!?」

「麻里ちゃん意味わかんない」

「つかず離れずの2人見てるとこっちがモヤモヤしてくるよ」

「でも、たかみなはもう陽菜のことなんて…」


「聞けばいいのに」

「へ?」


「すいません!篠田さんお願いしまーす!!」



"行動あるのみ!"



そう言って、麻里ちゃんは撮影に向かった。





これから、あの海にでも行って考えてみようかな…





End

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ