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□やっと気づいた
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「会えなくて寂しいな…」





秋元康脚本映画

主演 高橋みなみ(男役)
   柏木由紀





これが発表されたのは3ヶ月前。


AKBのメンバーが出演し、構成された映画。

だけど、たかみなの役は男性役。




これを聞いた時、嬉しい反面なんかおかしいんだけど、なんでかちょっとモヤモヤした。




急ピッチで撮影は始められたみたいで、たかみなにおめでとうを言おうにも会えなくて言えてない。



連絡するのもなんか変だし。




そんな日々を3ヶ月過ごしていくうちに、いつもは会うたかみなに会えなくて心なしか寂しい…



てか…寂しいってなに?



なにたかみな相手に3ヶ月会えないだけで、寂しくなってんだろ…




陽菜おかしくなっちゃったかな?





「はーるな!」

「あ、みいちゃーん」

「浮かない顔してどうしたの?」

「え、そんなことないよ!」



浮かない顔って、陽菜そんな顔してたの?


今日はたかみな抜きのノースリーブスで番組収録。




「ふーん…てか、たかみなの映画そろそろ公開だね!!」

「そうだね…」

「一緒に見に行こうよ!」

「あ、うん」


「来週のさ、舞台挨拶のときのチケット取ってもらったからさ、終わったら3人でご飯でも行こうよ!」


「うん…」



なんか、ちょっと気まずい。

気まずいって言うか、久しぶりに会うのが恥ずかしいっていうか…



やっぱり陽菜変だ。



しかも、なんでたかみなのことばっか考えてんだろ…












映画公開日舞台挨拶―


みいちゃんと変装して侵入して、たかみなとゆきりんの舞台挨拶を聞く。


男役だから男装しているたかみなが現れると、キャーキャーと黄色い歓声が聞こえてくる。



しかも、ゆきりんをエスコートしちゃったりしちゃって…たかみなのくせにムカつく。



ろくに舞台挨拶の話も耳に入らず、映画は始まった―








たかみな…格好いいじゃん。


映画の中のたかみなは本当に男みたいで、格好良くて、1つ1つの仕草に陽菜までもがドキドキしてしまう。


切なそうにする顔にキュンってきたり、ふと笑った笑顔にドキドキしたり、陽菜は魅了されていた。





でも、唯一魅了されなかったのがゆきりんとのラブシーン。



なにこれ…




たかみなとゆきりんが結ばれる話みたいで、なんか…ムカつく。

悶々と陽菜の中で何かが積もっていく。




極めつけは…



「うっわ、なにこれたかみな
超熱いキスしてる…」



隣りのみいちゃんが思わず呟くくらいの熱いキスシーン。



見ていたくないくらいだけど、画面から目が離せない…



たかみながキス…





てかなにこれあたし…まるでヤキモチ妬いてるみたいじゃん…


ヤキモチ…




これまでの3ヶ月の記憶が一気に蘇る。


会えなくて寂しくて、もどかしくて、映画見ればドキドキしたりヤキモチ妬いたり…





陽菜…たかみなのこと好きなのかな…



ううん、好きなんだ…







映画が終わり、裏の楽屋へとみいちゃんと向かった。


ちょうどたかみなが着替えに行くとこで、ばったり遭遇した。




「たかみなー!!かっこよかったよ!!」

「おわっ、みいちゃん飛びつくな!あ、にゃんにゃんも来てくれてたんだ!」



男姿のたかみなはやっぱり格好良くて、陽菜の心臓はまたドキドキとしている。



「たかみなあのキスシーンなに〜??」



みいちゃんがニヤニヤしながら問いつめると、顔を赤くして狼狽えるたかみな。


やっぱムカつく…



「監督が熱烈にって言ったんだよおー!!」

「へー…」


そう冷たくいい放てば



「にゃんにゃんー!!」



なんて叫んで陽菜の手を掴んできて、掴まれた部分が熱を帯びていくのがわかる。



「あ、ゆきりーん!!」



みいちゃんは楽屋に入って、ゆきりんのところへ。




「じゃああたし着替えてこなきゃ、これからご飯でしょ?」

「…陽菜も行く」

「へ?」

「だから、陽菜も行く」

「あ、そ、そう?」



たかみなと居たいんだもん…


更衣室に入って、陽菜は椅子に腰掛けてたかみなを見る。




「あのー…」

「なに?」

「見られてると着替えにくいんですけど」

「………」

「にゃんにゃん?」




たかみなを見つめる。

すると狼狽えながらこっちに近づいてくる。



"具合悪い?"



なんて首を傾げて陽菜のおでこに手をやる。



違うの。



違う。





「陽菜…たかみなが好き」

「…へ」



驚きすぎて、固まるたかみな。
目をまん丸くして陽菜を見る。




「え?…冗談やろ?」

「冗談じゃない。この3ヶ月会えなくて寂しかったし…キスシーンだって嫌だったし…」


「…にゃんにゃん」


「陽菜だってこんなにたかみなが好きなんて気づかなくて…」


「あたしも好きだよ」


「え?」

「にゃんにゃんよりもっともっと前から、ずっと好きだった…」




なんて顔を赤く染めながら、恥ずかしそうに言ってくれた。


やばい…嬉しい…



「たかみな…」

「にゃんにゃん…」



自然と唇が重なろうとしたときだった



ガチャッ―



「陽菜ー!たかみ…なー!!!なに!?どういうこと!?」



みいちゃん…


タイミング良すぎでしょ。








End

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