@

□あまーい夜
1ページ/1ページ



今夜はなんだか、陽菜おかしいみたい。


「にゃんにゃーん、歯磨き粉ないよー!」



洗面所から聞こえるたかみなの声。

今夜はたかみなが仕事終わりに、陽菜の家に泊まりにきている。


「そこの棚にないー?」

「あ、あったー!」


なんだかたかみなが家に居ると、すごくそわそわして落ち着かない。

同棲したらこんな感じなのかなーとか、そんなことをいつも考える。



そうしていれば歯磨きを終えたたかみなが、鼻歌を歌いながらノリノリで戻ってくる。



「こんな毎日が続くのかな…」

「ん?なんか言った?」



ボソッと呟いた声が聞こえたみたいで、首を傾げてこっちに近づいてくる。



「なにも言ってないよ?」

「そっか」


そう言って、当たり前のように陽菜の隣りに座ってテレビを見る。



「たかみな明日朝早いの?」

「明日は午後からーにゃんにゃんは?」

「陽菜も午後からー」

「じゃあ今夜はゆっくりできるね」



そう言って笑うたかみなにドキッとして、思わず目をそらしてテレビを見る。


"ゆっくりできるね"


が変な風に聞こえる陽菜は、今日は頭がおかしいみたいです。


でもね、ここだけの話付き合ってから結構経つのにたかみなとはキス止まり。

その先なんて陽菜も全く考えてなかったのに、今日の陽菜おかしいみたい…



こんなにもたかみなに触れて欲しいと思うのは、なんでなんだろ?



「さっきから考え事?」


たかみなは笑って言った。


「ボーっとしてた」

「にゃんにゃんらしいなー」

「ねーたかみなー」

「ん?なんや?」

「…何でもない」



"なんだそれ"って笑うたかみなの手に陽菜の手を絡める。

最初の頃は驚いてたけど、慣れてきたのか陽菜の手を握りかえす。



またギュッて陽菜がすれば、ギュッて握ってくれる。


こんな遊びが楽しいなんて、たかみなだからなんだろーな。



今度はコツンとたかみなの肩に頭を乗っけて


「たかみなの肩…低い」

「仕方ないやろー!」

「ちっちゃいもんね」

「どーせチビだわ!」



って言った瞬間、チュッと陽菜の唇に一瞬キスをした。

たかみなを見れば顔を赤くして、口が緩んでる。



「…もう一回」

「へ?」



今度は陽菜が、たかみなにキスをする。


「にゃ、にゃんにゃん?」

「もう一回…」


チュッー



今度は少し長めのキス。

やばい…陽菜止まんないかも…



「にゃんにゃん今日どうした!?」

「…わかんない。たかみなが
欲しいみたい」

「はい!?」

「てか陽菜って呼んで」

「あ、はい」



陽菜の肩をおさえながら、距離を保つたかみな。

そこは抱きしめてよ…ばか。



なんて思っていれば、グイッと引き寄せられ抱きしめられた。




「陽菜…今日誘ってんの?」

「え?」



いつもと違った少し低めの落ち着いた声色で、耳元で囁く。

なんだかくすぐったくて、また変な気持ちになって…



「だって今日、すっげーいやらしい目つきしてる…」

「…うるさい」



身体を離して、おでことおでこを合わせて見つめる。

ドキドキと鼓動が早くなる。



「もうね、かなり限界なんだけど…」

「…陽菜だって」



たかみなと唇が重なり、舌が侵入してきて陽菜はそれに応えるように舌を絡める。

それと同時にたかみなは陽菜を押し倒し、胸に触れる…




その時だった



ピンポーンピンポーン―



「「げ…」」



モニターに映し出されたのは、優子と麻里ちゃんで、すごくタイミング悪い。



「…おあずけだな」

「んー…」

「そんな膨れっ面しなくても、これからいくらでも抱いてあげるよ?」

「は!?たかみな!?」



いつものヘタレたかみなじゃなくて、変態たかみな。

ルンルン気分で玄関に行ってしまったたかみな。




陽菜…



変なたかみなスイッチ押しちゃった?





End

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ