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□素直になれなくて
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「にゃんにゃーん、帰ろー?」

「…仕方ないなー」

「いやいや仕方ないってどゆことや。今日にゃんにゃん家行くって約束したやん」

「そうだっけ?」

「えーっ!!」



仕事終わりの楽屋。

メンバーもまだいる中、付き合ってるにも関わらず、陽菜の態度はいつもこう。


だってたかみないじるのおもしろくない?


まー素直になれないっていうのもあるけど。



「相変わらず陽菜はたかみなに厳しいねー」

「みいちゃんに言われてもね」



てか、なんだかんだみんなたかみなに厳しいと思う。

というかいじりがい?がある。



「にゃんにゃーん、はーやーくー」



そう言って楽屋のドアから少し覗いて、不満そうな顔をするたかみなを可愛いなんて思ったのは内緒。



陽菜の家に向かうタクシーでも、くだらない話で言い合ったりほんとたかみな飽きないよね。









「着いたー!」

「たかみなうるさい」


マンションに入り、エレベーターに乗って玄関の鍵を開ける。



「あれ?」

「なに?」

「…部屋が……綺麗」



ぼーぜんとするたかみなを中に押しやって、陽菜もリビングに入る。


部屋が綺麗なのは、たかみなが来るから綺麗にしたんだよ?なんて言えない。



「うおーうさみみちゃーん!」



部屋に入るなり、うさみみちゃんたちの元へ行きしばらく犬と遊ぶたかみな。


確かにうさみみ可愛いけどさ、陽菜のことも構ってよ…



素直になれなくて、そんなこと言えない。



「ねぇー」

「ん?どしたー?」

「どうしたじゃなくてさ」

「なにー?うさみみちゃん可愛いねー」



そう言って犬とさっきからずーっと戯れてんじゃん。

陽菜とじゃなくて、うさみみたちと居たいから陽菜の家来たの?



ちょっと陽菜が素直になれば済む話しなんだけど、素直になることが恥ずかしい。

惚れた弱みなのかな…



「うさみみに会いに来たの?」



なんて嫌みったらしくソファーに座って、ムスッとした顔でたかみなを見る。



「ん?……もしかして…構ってほしいの?」



うさみみを抱えたまま、くるっとこっちを向いて笑って言った。



「…違いますー」


ほんと素直じゃない。


「あ、そう」


そう言ってまたくるっと背中をこっちに向けて、うさみみと戯れ
だす。

…構ってよ



「…陽菜も構ってよ」

「え?」


口に出た言葉と共にたかみなは振り返ってこっちを見る。



「せっかく陽菜の家来たのに…うさみみばっか…」

「陽菜…」



うさみみを下ろして、たかみなは陽菜の隣に座って優しく抱きしめる。

この温もりがずっと欲しかった。



「ったく素直じゃないなー」

「それが陽菜の売りです」

「そうだっけ?」

「うん…」

「まーメンバーと居るときはそうだよね」

「うるさい」



ちっちゃなたかみなに抱きしめられると、こっちが抱きつかれてるみたいだけど、そこがまた可愛い。

陽菜たかみなのことほんと好きだなー。



たかみなから身体を離して、唇を重ねる。





陽菜、素直じゃないけどちゃんと大好きだよ?




そう気持ちを込めてまた唇を重ねる…






End

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