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□目と目が合うだけで
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あたし完璧にどうかしちゃってる。


たかみなと目が合うだけで、少し触れるだけで、心臓がドキドキと音をたてて驚かせるの。



多分これは"恋"なんだ。



この感情に気づいたのは、結構最近で自分が気づかなかっただけで、多分かなり前から好きだったと思う。



「あつこー」

「ん?」


気の抜けた声、これは周りに他のメンバーが居なくてあたしの家で2人きりだから。

オフみなってやつ。



「ここのフリこうだっけ?」

「違う、そこはこう」



コンサートを控えているので、フリ付けは入念に行う。

たかみなも仕事が忙しいから、なかなかレッスンに行けてないみたい。



「敦子の方がレッスン回数少ないのに、あたしもまだまだダメだなー」

「たまたまだよ。あたしだってこのフリわかんないし」

「あ、それ?それはこうだよ」



違う曲でわかんないフリを教えてもらうけど、ちょっと複雑で理解に苦しむ。

すると、たかみなはあたしの手を取って誘導する。



ちょっ、手…てか近い…



慣れてるはずなのに、2人きりだからか余計にドキドキと胸は高鳴る。



「あ、ありがと」

「いえいえお互い様やで」



また一心不乱に踊り出すたかみな。

でも、またこんがらがったのかDVDを見ながら止まるたかみな。




あたしはそんなたかみなの姿を見て、愛おしい気持ちが溢れ出し思わず抱きしめた。



「うお!?敦子!?」

「たかみな…」

「ん?どしたー?」



いつものように抱きつかれることに慣れているたかみなは、あたしの頭を撫でて優しい目つきで見るんだ。



「好き」

「…え?」

「だから、好き…」

「えっと、それはメンバーとしてですよね?」

「違うよ?…」



すると、たかみなは急に顔を赤くしてあたしから目をそらす。



「うそ…」

「ほんとだよ?」

「あの、えと、高橋もその……敦子が好き…です」

「ウソ…」

「マジです…」


「そんな素振りいつも見せないじゃん!!」

「必死に隠してたんです」



恥ずかしそうに頭をかきながら、チラッとだけこっちを見てまたそらす。



目と目が合うだけで、ドキドキする。




そんな2人の付き合ったきっかけ。





End

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