U-17

□昭和の父親的存在
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「……よし、誰もいない」



馬鹿みたいに大きいが
練習終わりには狭く見える程
混み合っている合宿所の大浴場。



その大浴場の脱衣所に
今はひなたがポツンと1人。



いつもはがたいの良い人達と入るのが
気恥ずかしいのと、
熱すぎるお湯が苦手なせいもあり、
辺りが寝静まった頃に
1人で入りに来るのだが、
昨夜は待っている間に寝てしまい
朝風呂となってしまった。



いそいそとロッカーに向かい
着替えを置き、
部屋着のシャツを脱ごうとすると
脱衣所のドアがガラッと開く。



「っ!!!真田副部長!?」



「なんだひなた。部屋に姿がないと思えば、お前も朝風呂か」



心臓がバクバクと高鳴る
ひなたの気も知らずに、
すぐ近くのロッカーを開けて
着替えを入れる。



「いっ、いや、ちょっ…用事を思い出したのでっ…!!!」



「なんだ、こんな広い風呂だ。遠慮しなくていい」



「はっ…はい…」



慌てて荷物をまとめようとすると
上から鋭い目で見られ、
思わずコクンと頷いてしまうひなた。



それからひなた的には
気まずい雰囲気の中、
服を脱ぎ、腰にタオルを巻く。



「なんだ、タオルなど巻いて。男同士だろう」



「えっ?…いや、副部長達みたいに逞しい身体してないですから…」



「なんだそれは?…まさか、他の者と風呂に入りたがらないと思ってはいたが、そんな事を気にしていたのか?」



「いや…その…」



「まったく…蓮二が見せたくない古傷でもあるのかと心配していたぞ」



「…柳先輩が?」



「あぁ。いつもは蓮二が誘えば必ず着いて来るお前が断り続けるからおかしく思ったのだろう」



「そうなんだ…」



自分の事をいつでも
気にかけていてくれると知り、
ひなたは少し微笑む。



「お前はまだ成長途中なんだ。まだまだ身長も身体も大きくなるはずだ」



「っ、本当ですか!?」



「身長が伸びるのは男子の平均では高校生からだからな」



「じゃっ、じゃあ、真田副部長みたいになれますか!」



「…あぁ、いずれ抜かされる日が来るかもしれんぞ」



「っ〜…!!!」



「フッ…」



目を輝かせて真田を見るひなたが
おかしくて真田も少し顔が緩む。


 
「…だが、なにより」



「なにより?」



「お前はお前だ。
ひなた、もっと自信を持て。」



「っ…!!はいっ!」



少しウルっとした後、
すぐにニッコリ微笑むひなたを
見れば風呂に向かう真田。



すれ違いざまにひなたの頭を
軽く数回叩くと、
ひなたは嬉しそうに真田の後を追う。



昭和の父親的存在



(副部長、熱いです…)

(馬鹿者。これくらいが丁度いいんだ)

(えー……)

(……ひなた)

(はい?)

(マネージャーは楽しいか)

(…?はい、楽しいですよ?)

(フッ…そうか、ならいい)























普段の真田のイメージだと、
「くだらん」、とか言いそうだけど、
管理人のイメージだと
悩み事は真摯になって
聞いてくれそうな気がする(^p^)
厳しい時は厳しいけど、
優しい時は優しい。
昭和の父ってイメージで
真田は好きなキャラの1人です(^p^)

 

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