全国大会〜

□第三十七話
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「…ぐっすり寝てやがる…」





忍足を部屋で待たせ
俺様は奏をそっと抱き抱えて寝室まで運んだ
きちんと整えられたベッドの上に優しく奏を降ろし、シーツをかける
ベッドライトをつけると、なんとも可愛らしい寝顔が現れた





「……ゆっくり寝ろよ…」




顔にかかった金髪を耳にかけ
桃色の頬にそっと唇を寄せる
最後にもう一度だけ、すこやかな寝顔を眺めて、身体を離そうとした




「…んー…」
「…離さねぇ、ってか…」




俺様の襟元を、軽く引っ張る弱い力
振りほどくのに、大した力もいらないが俺様は振りほどかなかった
なぜなら、俺様の襟元を軽く掴んでいるのは奏の手で
本当に眠っている奏の、無意識のうちの反応だからだ





「何回も言ってんだろうが…」
「……ん…」
「離さねぇぜ、お前のこと」





そっと奏の手を襟元から離す
その間も俺様の指に絡み付いてくる奏の指がやけに愛しくて
その指先に軽くキスを落とし、優しくシーツにくるんだ





「…また明日な、奏…」





これで最後、と枕元に屈み込んでそっと髪にキスを落とした
寝顔を照らしていたベッドライトを消す
一気に暗くなった部屋のドアノブに手をかけ、静かにひねった








廊下を進み、忍足が待つ部屋へ向かう
今から、俺様が忍足に話そうとしてるのは恐らく、俺様しか知らないであろう
イギリスにいた頃の奏の話―――…








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