遥か
□夢現
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(神子…―。チリッ チリンッ)
どこからか、自分を呼ぶ声が聞こえた…―。
(神子…オレの…大切な…)
あなたは誰?
そう問い掛けると返事の変わりに歌が届いた。
心を癒やす、神達を鎮める…そんな歌。
遠夜…―。
(わかってくれた…うれしい。)
姿は見えなくても彼が笑ったような気がした。
これは夢?姿がみたいよ…
(目を閉じて……こっちに…おいで…)
ふわりと、手に温かい感触があった。
この手は…遠夜。
瞳を開けると、目の前に綺麗な青年がいた。
「遠夜…」
『神子の夢……心地がよかった……よく……眠れたか?』
心に響く綺麗な声という音色。
そうだ、これが遠夜の声。
「ぅん。遠夜、歌ってくれてたんでしょ?」
『あぁ…神子のために』
「ありがとう」
私が笑うと彼もふんわりと笑った。
『彩夏……オレの大切な……ワギモ』
彼はそっと抱きしめて、そう言の葉を紡いだ――