イナゴ

□初恋は実らない…
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天「つーるっぎくーん!」
私はがばっと剣城君に抱きつく
剣城君は嫌そうな顔で私を見る
此処、雷門中に入学して、
私の人生初の恋
違うクラスだけど部活は一緒
剣城京介君が好きになった
京「またお前か…」
天「えへへ〜」
でも、剣城君は私の事キライみたい…
たまに目があって 私がぱちっとウィンクしても無視するし…
手を振っても無視するし…
京「お前、部活あんだろ いいのかよ…」
天「いいのぉ〜 私はマネージャーなんだから」
京「それまずいだろ」
天「葵ちゃんとか、茜さんがやってくれるからいいのぉ〜」
京「あっそ つか、離れろ!」
力強く抱きついていたつもりなんだけど…
男の子の力で直ぐにその腕をとかれてしまう
天「剣城君は、私の事 キライ?」
京「大っ嫌いだ」
天「うぅ…」
京「…あ、いいことを教えてやる」
にやっと私に一歩近づく
……此処で壁に押さえつけられて…
とかとか!? そーゆのとかないのかな!?
天「あ、あっとぉ… そ、そういうのは…その…「俺はお前みたいな奴が一番嫌いなんだ」…え?」
京「じゃあな もう俺に近づくなよ!」
天「…」
え、嘘、か、完全に… 嫌われちゃった?
…あー、あー… 初恋は実らないって言うモンねぇ…
あ、はは… だ、だったら… 中学入る前に恋の1つや2つ、しておけばよかったなぁ…
そーすれば… 剣城君と、今では仲良くやってたのかな…
バタンっ
京「え、ちょ、松風!?」
私はショックで 倒れてしまった…


天「ん、むぅ…」
目を開けると そこはすぐわかる
保健室だ
カーテンの隙間からは何も見えない
てゆーか 私以外の人がいる気配がしない
その時
がらがら って、ドアの開く音がする
剣城君かな?
剣城君だったらいいな…
そう思って 上半身を開けると
一気にカーテンが開く
そこには、私の知ってる人物が3人居た
葵ちゃんにキャプテン、霧野先輩がいた
剣城君は居なかった…
剣城君、何処、行っちゃったんだろう…
葵「天馬!大丈夫?」
天「う、うん… 皆、どうして私が此処にいるって…」
拓「剣城がな『松風が倒れた 保健室に運んでやったから後はよろしくな』って…」
剣城君が運んでくれたんだ…
お、重くなかったかな…
最近、太っちゃったから…
もう少しダイエットすればよかったかも…
天「じゃ、じゃあ 剣城君は…」
蘭「帰ったよ」
天「…」
あ、あれ 目から涙が…
拓「ま、松風!?泣いてるのか?」
天「だ、大丈夫です… 平気です… きょ、今日は、もう帰ります…」
私は目をゴシゴシふいて、ベッドを降りる
保健室の出入り口には、私の鞄が置いてあった
私はその鞄を持って 校舎を出た


校舎を出て、直ぐの曲がり角を曲がる
どんっ
誰かにぶつかってしまった
けど、今の私には「ごめんなさい」の一言を言える気力さえなかった
私は顔を上げずに、ぺこりとお辞儀し
また進む
すると、その人が…
?「おっまえ… 人にぶつかっといて誤りもしねぇのかよ?」
天「…え、」
その人… 剣城君…
なんでこんな所に…
帰ったんじゃないの?
帰らなかったの?
天「つ、剣城君?」
京「…おまえ、平気か?」
私の前まで来て 頭を撫でる
後頭部を撫でてきて「ここら辺打ったよなぁ」って呟く
私の顔は徐々に赤くなっていく…
京「顔あけぇ… 次は熱か?」
天「ち、違う!へ、平気…」
京「平気なモンか お前、倒れるし… 頭撃つし… しらねぇと思うがよぉ 気ィうしなってる間うなされてたんだぞ?」
天「へ?」
ようやく私は顔をあげる
京「なーんか 俺の名前連呼してたけどよ 俺になんか用か?」
天「あ、べ、別に…」
と、また顔をうつ伏せる
顔が赤くなりすぎて、なんかニヤけてきちゃって…
その顔を見られるのが恥ずかしくって…
天「そ、そんな事より! なんでこんな所にいるの?私を、…心配してくれてた?」
ぽっ と、私の顔が赤くなる
もじもじして 恥ずかしくなる
すると、ぽんっ と 剣城君の手が私の頭に乗る
顔を上げると、私と同じ、顔が真っ赤、そっぽ向いて…
京「…あぁ///」
天「あ、その…あ、アリガト…」

外見はああだけど…
実は心優しい剣城君…
やっぱり、私を言えまで送ってくれた

天「剣城君!今日、アリガトね^^」
京「もう平気か?」
天「うん!…あ、そうだ! ちょっと家によってってよ!」
京「はぁ? おっまえ… 俺は忙しいんだy「ちょっとだけだから!」
と、言って 私は剣城君の腕を引っ張る
天「ただいまぁ!」
秋「おかえりぃ」
台所からはいい匂いがする
秋姉ちゃんは、夕飯を作るのに忙しいみたい
天「じゃーん! 此処が、私の部屋!」
京「…」
私の部屋は 一般女子とはちょっと違くって
サッカーのポスターが貼ってある
本棚も少女マンガとか、服の雑誌とかじゃなくって サッカー雑誌ばかり
でも、カーテンも布団もピンク色
布団にはおっきな兎のぬいぐるみだってあるんだ!
京「女の部屋はじめて来たけど… こんななのか…」
天「ち、違うよ!ホントはもうちょっとオシャレなんだよ! 私はちょっと違うってゆーか、なんとゆーか… いいから入って入って!」
私は剣城君を半分強引に部屋に居れる
バタンて閉める
そして、私はベッドにダイブ
天「この布団ね ふっかふかなんだよぉ」
って、言いながらゴロゴロする
天「ねぇ、剣城君 剣城君も…って、ああああああ!!」
私は起き上がって剣城君を見る
剣城君は座って、床に置いてあった私の携帯をいじる
ま、まずい… あの中には剣城君隠し撮り写真が何枚も…
京「…お前… 入学初めごろから俺をストーカーって…」
天「わ、悪気はないんだよ!ホントだよ!てか、勝手に女の子の携帯いじらないでよ!」
京「待ち受けも俺か」
天「うるさーい!」
って、バカやってる間にも いつの間にか5時すぎてて…
剣城君もそろそろ帰るって
最後に言いたいな あの言葉…
嫌われててもいいから…
私の気持ちだけでも知っておいてほしい…
天「待って! 剣城君!!」
立って、歩いて、
私が服の裾を掴む
京「あ?なんだよ…」
天「い、言いたいことが…」
京「早く言え」
天「う、うん」
向き合う それだけでも恥ずかしくって…
天「えっと… その、す、…す、ぅ…」
京「なんだ?用がねぇなら帰るぞ」
天「あ、まっ!」
ぐいっ って引っ張る
自分でもすごいなって思った
引っ張って、剣城君をあのベッドの上に
私も逃げられないように馬乗りする
京「立場逆じゃね?」
天「逆でもいいかも…」
っと 危ない危ない…
京「おいどけよ… 意外におもてぇな」
天「ふぇ…」
グサッと来ましたよ グサッと!
天「わ、悪かったわね!この一週間で3キロも増えちゃったのよ!!」
京「暴露しなくて良かったんだがな…」
…あ
京「で?なんだよ 用って…」
天「あ、うん…」

あの時は冷静だった
自分でも驚くほどに、冷静だった

天「剣城君の事が、好きなんだ」
京「ストレートだな」
天「あ、うん」
で、もじもじする
また顔がカァーって赤くなって、
天「私ね!ふぁ、ファーストは…剣城君がいいなぁって…」
京「待て まだ返事してねぇぞ こっちは」
天「え、あ、そうだね…」
しばしの沈黙
京「で、俺言ったろ?おまえみたいな奴は一番嫌いだって」
天「う、うん…」
京「でも、…お前は、普通だ…」
天「え、」
パアァと顔が明るくなるのが分かった
あかるくなって
やったぁってなった
天「それ、好きって意味?」
京「ばっ ちげぇよ」
天「普通はね好きに入るんだよぉ」
にっこにっこと笑顔になる
…ほんっと、立場逆だよなぁ って思う
これ、普通、私が下だよねぇ って思う
私は無意識に剣城君にキスする
京「ちょ、てめぇ…」
天「奪っちゃったー☆」
京「バカみたいな声出すな」
天「バカで悪かったわね!」

幸せの時間はすぐに終わる
京介君は、帰ってしまう…

京「泣くなって また明日会えるだろ」
天「う、うん…」
京「じゃあ、明日な」
天「あ、待って!」
京「今度はなんだぁ?」
走って、飛んで、キス
飛びついて、またキスをする
京「お前さぁ それ、学校でやんなよ?」
天「わっかんな〜い^^」
京「はぁ」
私は「じゃあね〜」って手を振る
京介君は振りかえす
初めて、やってもらえた…
嬉しくって また、涙が零れ落ちそうだった

腐るほどある明日が 嫌だった
片想いの頃
明日、また手を振っても、ウィンクしても、無視される
けど、その腐るほどある明日が 好きになった
両想いになって
明日、手を振っても、ウィンクしても、京介君は返事をしてくれる
手を振返したり、微笑したり
夜、明日はまだかなって 眠れなくなる
朝になって、ご飯食べて
二人、秘密の場所に行く
秘密ってわけでもないけど…
人気が無い場所
校舎裏にはいっつも京介がいるんだ
だから、学校来たら
直ぐに校舎裏に行く
天「京介くーん!」
今日も私は、京介君の名前を呼ぶ
すると、笑ってくれて 私の飛びつきを受け止めてくれる
で、私からキスする
京介君からやってくれないから仕方ない
私はマイペースにやっていこう
あ、そうだ
明日は休日 でもってデート
明日はどんな服にしようか
久しぶりに 永久保存したスカートでも履いてみようかな って 私は思った
天「京介君」
京「どうかしたか?」
初恋は実らないって言うけど…
それは真っ赤なウソだったみたい
天「大好き―vv」
京「うわっ」
こんな幸せな毎日が続きますよーに

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